2016 Fiscal Year Research-status Report
地球外の視点による地球観の共有 -地球観測衛星を利用した芸術表現技術の国際化-
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16K02318
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Research Institution | Kanazawa College of Art |
Principal Investigator |
鈴木 浩之 金沢美術工芸大学, 美術工芸学部, 准教授 (60381688)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大木 真人 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構, その他部局等, 研究開発員 (80578302)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 芸術 / 美術 / アートプロジェクト / 人工衛星 / だいち2号 / ALOS-2 / CR / モンゴル |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)茨城県(北茨城市、高萩市、日立市、大子町、常陸大宮市、常陸太田市)、三重県四日市市、石川県金沢市、にてそれぞれSAR撮像の国外実施に向けたCR設計の改良、製作と配置に関する実験を実施した。平成26年度、運用中のALOS-2を利用し、CR撮像と変化抽出法により日本国内の都市をキャンバスに見立てたグラフィックを制作(平成25年度JSPS科研費、JAXA地球観測研究センター 研究公募ALOS-2 RA-4、三谷研究開発支援財団研究助成、採択)したが、その予備研究を基に、国外でのCR製作や配置を可能とする(現地の材料による) CRの設計や製作方法の開発、広範囲の地上絵を制作するための配置方法を検討するため、CRの間隔が50km離れた広いエリアでの実験(茨城)や、参加者説明から撮像までを短期間(2日間)で実施する実験(三重)、板にアルミ箔を貼る簡便な工作で電波を反射できる簡易型のリフレクタの性能を調べる実験(石川)を実施した。 (2)モンゴルでの地上制作プロセスの検討 モンゴルウランバートル市においてCR製作と配置を行い、これらをALOS-2搭載のSARにより撮像した。モンゴル科学技術大学附属高等専門学校と協力し、現地学生が製作したCR18基をウランバートル郊外に配置し、2016年7月19日深夜にALOS-2からこれらを撮像した。実験は成功し、CRの設計と工法が日本国外で機能することを実証した。 (2)国際的に展開可能な教材開発と教育に関する検討 国外で人工衛星を利用した地上絵制作を現地の参加者らと協力して実施するためには、情報の共有が重要となる。また、活動の全容を把握する視覚的な情報伝達の方法にも工夫が必要である。高高度の視点、広範囲での活動、参加人数の拡大の各要素をまとめるメディアとして、VRを活用した説明用コンテンツの開発を開始したところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国外で予想されるCRを利用したアートプロジェクトにおいて、対象となる範囲の大きさ、実施期間、工作の難度(工作の工程数の簡素化)、等の調整が検討課題として上がる可能性が高いと思われるが、平成28年度の研究では概ね実験によってこれらの課題への見通しを立てることが出来た。国外での実験も順調に進展していることから、進捗状況は順調と判断した。携帯端末でのアプリケーション開発に関しては中断している状況であるが、理由として、本研究が扱うアートプロジェクトの全体像を参加者や研究成果発表時の作品鑑賞者に向けて理解させるコンテンツの開発を優先したことが影響している。
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Strategy for Future Research Activity |
国外での活動を推進する上で、これまでの活動をまとめた活動報告書の作成とその英訳が急務だと考える。海外の研究協力者に向けて研究の成果を正しく伝える目的で、写真図版を多く取り入れた報告書を作成し、このツールを活用して参加者と活動の概要を共有したうえで人工衛星を利用した芸術制作プログラムを開発すべきとの結論に至っている。本年度内にPDF版を作成し、次いで印刷物として作成して、海外でのプログラム開発を推進したい。 電波を反射する器具については、簡便な工作で参加者個々が手元で電波を反射させている実感が得やすい板状のリフレクタを開発中である。このタイプのリフレクタが大勢の使用で性能が正しく引き出されるかについて、1500人規模の大掛かりな実験を実施する予定となっている。また、リフレクタも参加者個々が自作することとなっており、その精度がどの程度反射に影響するかについても分析を行い、今後の海外でのプログラム開発に活かし、研究を推進したい。
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Causes of Carryover |
研究協力者への謝礼金について、受け取りを辞退された方がいたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
活動報告書などをまとめるための謝礼金が増えることが予想されるため、その支払いに充当する。
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Research Products
(4 results)