2016 Fiscal Year Research-status Report
能楽囃子太鼓方観世流に見る伝授と受容の諸相―『入門者摘録』（全2冊）研究
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16K02336
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| Research Institution | Musashino University |
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Principal Investigator |
三浦 裕子 武蔵野大学, 文学部, 教授 (30646287)
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2016-04-01 – 2019-03-31
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| Keywords | 能・狂言 / 芸能 / 近代 / 伝授 / 家元 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
能楽囃子太鼓方観世家（以下、太鼓観世家とする）は慶長期頃から存続する名家で、16世紀末頃から現代にかけて記された資料を多数所蔵している。昭和30年代から表章氏ら能楽研究者が何度も調査に訪れ、資料の整理と撮影を行った。その成果は数々の論文に発表されたが、これらは江戸時代の資料を中心に論じ扱うもので、太鼓観世家が所蔵する近代以降の資料の解明はほとんど進んでいない。
そこで本研究では、太鼓観世家が所蔵する未公開資料の『入門者摘録』（全2冊。ともに縦127㎜×横185㎜、約100丁。第2冊は『明治以降 入門者摘録』と記される）（19世紀初頭から20世紀半ばに太鼓観世家に入門した素人弟子および玄人弟子の記録）を解読し、幕末から現代にいたる同家における伝授の諸相を解明を目的としている。と同時に太鼓観世家が所蔵する近代以降の資料のデータ―ベース化に向けたリスト作成も行うこととした。
平成28年度は、初代梅若実資料研究会（代表研究者＝三浦裕子、連携研究者＝土谷桃子、研究協力者＝加賀谷真子・氣多恵子・小林責・中司由起子・深澤希望・別府真理子）が、太鼓観世家蔵の資料の総合的調査を、8月16日から19日の4日間にわたって同家にて行った。その際、観世元伯氏（観世流太鼓方能楽師・日本能楽会会員・能楽協会会員。16世観世元信氏の長男）から太鼓観世家および太鼓に関する助言を受けた。また、能楽研究家の高橋葉子氏の協力を得て、調査の精度を上げるよう努めた。
『入門者摘録』と、今回の調査で新たに発見された『免状之覚』（全2冊）を8月18日・19日の２日間にわたって撮影しデジタル化を進めた。
三浦裕子が『入門者摘録』の解読に着手し、同家に入門した弟子が約1000名に及ぶことを解明するなど、調査・研究を進めた。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初代梅若実資料研究会は太鼓観世家の所蔵する資料の調査を、観世元伯氏の助言を得ながら、8月16日から19日の4日間にわたって行った。その際、能楽研究家の高橋葉子氏の協力を仰いだ。
『入門者摘録』（全2冊）と新たに発見された資料『免状之覚』（全2冊）を撮影しデジタル化を進めた。
三浦裕子が『入門者摘録』の解読に着手し、同家に入門した弟子の人数を解明するなどした。
以上のことから、おおむね当初の計画どおりに研究・調査を進めていることが言える。
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| Strategy for Future Research Activity |
初代梅若実資料研究会が、観世元伯氏の助言を受けつつ、太鼓観世家が所蔵する資料の総合的調査を、同家が夏季に催す虫干し時に行い、資料のデーターベース化のための準備をさらに進める。その際、資料保存の方法などの検討も行う。
デジタル化した『入門者摘録』（全2冊）の解読を進め、その成果の一端を「能楽囃子太鼓方・観世元信家蔵『入門者摘録』（全2冊）研究序説 ― 14世家元・観世元規による伝授を中心に」として、研究代表者の三浦裕子が7月に開催される第25回楽劇学会大会において研究発表をする予定。
初代梅若実資料研究会による研究会を開催し、以下の目的で『入門者摘録』の解読を進める。Ⅰ19世紀初頭から20世紀半ばまで太鼓観世家に入門した素人弟子の調査。Ⅱ19世紀初頭から20世紀半ばまで太鼓観世家に入門した玄人弟子の調査。Ⅲ太鼓観世家が所蔵する起請文など伝授関係の資料と『入門者摘録』の関係性の解明。Ⅳ太鼓観世家が所蔵する近代以降の資料の総合的調査とデータ―ベース化に向けたリスト作成。Ⅴ伝授をめぐるシテ方観世流梅若家と太鼓観世家との比較。
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| Causes of Carryover |
物品費・旅費・その他などの諸経費を圧縮することに努めた。
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| Expenditure Plan for Carryover Budget |
参考文献の購入、および能楽囃子の付ケ（楽譜）のデジタル撮影による関連資料の充実を図る。中性紙の封筒の準備などを行い、太鼓観世家が所蔵する諸資料の保管状態の改善を試みる。太鼓観世家に入門した弟子に関する現地調査を進める。
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