2019 Fiscal Year Annual Research Report
Asian Traditional Theatre and Shakespeare : with special focus on Ryukuan Opera and Newly Created Noh-
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16K02346
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
鈴木 雅恵 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (70268291)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | シェイクスピア上演 / 新作能 / 沖縄芝居 / 東西演劇交流 / 伝統演劇 / 新作組踊 / ポストコロニアリズム / 翻案 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、新作能に関しては、研究の成果として、2019年11月23日に、新たな世界遺産の一角・仁徳天皇陵古墳に隣接する大仙公園の日本庭園に設えた水上舞台で、シテ方に宝生流・辰巳満次郎氏の主演する新作能「マクベス」が上演され、また、同会場で、今までの公演成果のパネルも展示された。シェイクスピア作品の、アジアの伝統演劇への融合の成果であり、また、能の伝統の、未来への革新の試みが、関西地域の風景と融合した例でもあった。 2019年12月には、那覇赤十字病院にて、宮古島出身の詩人の与那覇幹夫氏により、彼の最後の詩集『時空の中洲で』の解説と、朗読を受け、沖縄の古層の根幹と、現代とをつなぐ精神に触れた(与那覇幹夫氏は、翌年1月20日に永眠された。心よりご冥福をお祈りする)。その他、2月には、沖縄映画研究会にも参加し、沖縄芝居の重鎮、真喜志康忠氏の息女でもある、元女優で古代信仰研究家の講演を拝聴したほか、ロンドン大学キングス・カレッジに提出された、藤城孝輔氏による中江裕司の研究を中心とした沖縄映画論〝Okinawan New Wave"について知ることができ、中江裕司氏へのインタビューも企画した。 ただ、当初、年度末にベトナムで開かれる演劇集会で研究発表を予定し、そこで海外出張費の執行を予定していたが、新型肺炎の流行の関係で中止になり、出張先が前述の沖縄での研究会に変更されたため、渡航費用の差から、未使用金が生じた。 成果発表は、Web発表が決定している日本英文学会および研究発表が受理されている韓国シェイクスピア学会でおこなわれるが、Helen Gilberts氏のポストコロニアリズム理論等、西欧の理論を、アジアの伝統演劇とのシェイクスピア劇の融合の事例にどのように援用できるかという考察は、まだ今後の課題として持ち越されている。
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Research Products
(3 results)