2018 Fiscal Year Research-status Report
植民地期朝鮮の職業書芸家における「書」認識に関する研究
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16K02350
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Research Institution | Osaka University of Economics and Law |
Principal Investigator |
金 貴粉 大阪経済法科大学, アジア太平洋研究センター, 研究員 (20648711)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 植民地期朝鮮 / 朝鮮人書芸家 / 近代東アジア書道史 / 朝鮮美術史 / 朝鮮開化派 |
Outline of Annual Research Achievements |
30年度は、28年度、29年度に明らかになった調査結果を踏まえた上で、追加の資料調査ならびに成果報告を行った。これまでの調査、分析において、朝鮮人書人らの実相を見ると、多くが官僚出身者であったことが明らかとなった。そのため、作品のみの分析に限らず、彼らの政治的な活動、移動範囲、同時期の国を越えた交友関係を含めた調査を行うこととした。 そうした活動を明らかにするために、主に政治的な活動が把握できる調査先として、斎藤実記念館、韓国の釜山博物館、釜山近代歴史館を加えた。その結果、日本と関係史に関する調査ならびに歴史上の政治家等、書人の書文化、環境について考察、分析することができた。 さらに、大阪市立美術館、東京文化財研究所、台湾の故宮博物院の調査により、同時代の中国における書家たちとの比較研究を行うことができた。また、前述機関の専門家だけではなく、韓国国立中央博物館、朝鮮美術研究者から職業書芸家の「書」認識に関する研究成果について専門家の見地からアドバイスをいただくことができた。 それらの指摘をふまえ、植民地期朝鮮における職業書芸家の「書」認識について調査結果から分析を行い、具体的かつ立体的に明らかにすることができた。それらの成果は、「近代朝鮮における書の専業化過程とその特徴 ―官僚出身書人の動向を中心に―」(第29回書学書道史学会大会・岐阜女子大学・2018年10月28日)、「書画協会の結成とその活動について」(シンポジウム「近代東アジアの書壇」筑波大学・近代東アジア書壇研究プロジェクト主催・2018年9月8日)として口頭発表し、広く成果を還元した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査の過程で新たな資料が発見され、その分析を行う必要が出たため、当初の予定よりもやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
これまで明らかになった調査結果とともに、新たな資料分析を行うことで、職業書芸家の「書」認識に関する研究成果をまとめていく。その際、同時期の中国書法史研究者や近代朝鮮美術史の専門家から、分析結果に関する助言をいただく。それらの指摘をふまえ、今年度も成果を還元するために学会等で報告する。
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Causes of Carryover |
物品費については、既存のデジタルカメラ、パソコン等の機材で対応ができたため。また海外調査(韓国)において、通訳兼コーディネーターを依頼せず、自身で行ったため。
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Research Products
(7 results)