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2016 Fiscal Year Research-status Report

山田耕筰を中心とした美術の諸動向の研究

Research Project

Project/Area Number 16K02354
Research InstitutionTochigi Prefectural Museum of Fine Arts

Principal Investigator

木村 理恵子  栃木県立美術館, 学芸課, 主任研究員 (10370868)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2019-03-31
Keywords山田耕筰 / 日本近代美術 / ドイツ表現主義
Outline of Annual Research Achievements

山田耕筰の関心のありか、特に美術領域など音楽以外に関わる様々な事象を確認するため、初年度はこれまでの研究の蓄積の整理など基礎的な調査から始めた。まず、山田耕筰の音楽以外への関心について考察する重要な材料の一つとして、雑誌『詩と音楽』(復刻版)を入手した。同雑誌については研究開始以前から注目していたが、事前の推測以上に意義深いものであることが判明し、その研究に時間をかけることとなった。北原白秋と山田耕筰が編輯主幹を務め、まさに音楽と文学の融合を目指した芸術総合雑誌を標榜する通りの内容の雑誌であった。そこに、山田耕筰自身は楽譜を掲載し、舞踊について論じた文章を多く寄せている。
美術に関する記事に着目すると、雑誌の草創期においては山本鼎ら春陽会のメンバーが主体的にかかわっていた一方、その後期にはまだ若い時分の川上澄生が加わるほか、川路柳虹が「アクション展」を紹介するなど多彩な傾向と内容が登場しているのがわかる。山田耕筰と美術の関係を考える上では、神原泰の《あるペシミストの手記》など、大正時代後期の前衛的な傾向の方が直接的なつながりが強い。それは、山田耕筰たちが主宰した1914年の「シトゥルム木版画展覧会」などを通して、次世代の若き画家たちが山田耕筰に接近していくからである。
しかし、当初はそれ以前の、春陽会の小杉放菴ら『方寸』に集ったメンバーたちと、北原白秋との交遊関係がこの雑誌の美術の内容を決定づけていたことに着目すると、そこに対して山田耕筰がどのような関心を示していたのかも、山田耕筰と美術の関係性を探る上で考察すべき研究テーマとして浮上する。今後の研究課題の一つとしたい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

当初に予測した、山田耕筰と美術との関係よりも対象が少し広がったので、研究の方向性の若干の軌道修正が必要ではあったが、基礎研究に終始していることに変更はなく、比較的順調に経過していると考えている。

Strategy for Future Research Activity

初年度の研究では、雑誌『詩と音楽』が山田耕筰の美術への関心と舞踊への関心の両者において、重要な位置を与えうるものであったことが鮮明に浮かび上がってきた。そこでは川上澄生など、すでに予測していた美術家との関わりも当然ながら見られるが、それ以外にも北原白秋を介して、山本鼎ら春陽会の画家たちとの関係性も考えられることが判明した。今後は、そういった世代の違う美術家との関連も視野に入れるべきと考えている。
そこで今後の研究としては、神原泰や東郷青児、そして恩地孝四郎などの比較的若い世代の美術家との影響関係に着目する一方で、山田耕筰が山本鼎などの一世代上の美術家たちの造形表現に対してはどのような関心を抱いていたのか、どのような態度を示していたのかを考慮しつつ、研究課題に取り組みたい。
同時に、山田耕筰がベルリン留学時代に目にしたシュトゥルム画廊の画家たちを中心に、当時の前衛的な造形表現の旗手たちであったドイツ表現主義の画家たちに対する態度表明についても、もう一度、調査して整理しておきたい。それらを通して、山田耕筰が美術に対してはどのような興味と関心を抱いていたのか、また自身の舞踊や音楽への関心と美術的な興味との関係性はどのようなものだったのか、考察する。
その上で、次の段階として、山田耕筰から影響を受けて創作された美術作品の数々(川喜田煉七郎の「霊楽堂」や斎藤佳三の舞台美術、恩地孝四郎の版画作品など)を対象として、山田耕筰と美術の関係を広範に探る。

Causes of Carryover

初年度の古書による書籍購入等が、想定よりも安価で済んだため。

Expenditure Plan for Carryover Budget

引き続き、研究資料の購入及び調査旅費として有効利用する予定。

  • Research Products

    (1 results)

All 2016

All Journal Article (1 results)

  • [Journal Article] 特異な空間へ―髙木修作品をめぐって2016

    • Author(s)
      木村理恵子
    • Journal Title

      髙木修展 特異な空間へ(展覧会図録)

      Volume: 7月 Pages: 69-75

URL: 

Published: 2018-01-16  

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