2017 Fiscal Year Research-status Report
アジアの植民地を訪れた日本人の紀行文に関する基礎的研究
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16K02360
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Research Institution | Tokyo Gakugei University |
Principal Investigator |
石井 正己 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (30251565)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 植民地 / アジア / 紀行 / 外国人 / 日本人 / 視線 / 帝国主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年8月、韓国においてソウル・木浦を調査し、日本統治時代の遺構を確認するとともに、博物館の展示を通して、歴史認識の在り方を検討した。 2017年8月、韓国・ソウルにある国立民俗博物館で開催された第3回の韓日共同学術会議において、「女性作家が書いた植民地─林芙美子の見た中国─」の研究発表を行った。中国を植民地化してゆく過程にありながら、女性の視点でその生活を詳しく捉えたことを明らかにした。 2017年8月、韓国・全南大学校の日本文化研究センターにおいて、「イザベラ・バード『朝鮮奥地紀行』」の講演を行った。英国の女性探検家イザベラ・バードが激動の時代の朝鮮半島・満洲・沿海州を旅したことを取り上げた。強国に囲まれた朝鮮半島はやがて日本の植民地になってゆくが、その過程で王室と庶民を複眼的に捉えた意義を明らかにした。 2018年3月、東京学芸大学において、「明治150年記念 帝国日本が歩んだ足跡」のフォーラムを実施した。「講演 エドナ夫人の写真コレクション─日米野球交流の真実─ 新潟大学教授 錦仁」では、国際交流の中で写真資料の果たした役割を述べた。「講演 従軍画家の紀行と絵画 東京学芸大学教授 石井正己」では、伊東深水・藤田嗣治などの従軍画家が描いた絵画と紀行の意義を論じた。「シンポジウム 戦争という言説」では「「半島同胞」という銃後─銃後美談と総力戦─ 東京理科大学非常勤講師 重信幸彦」「戦蹟という風景 千葉大学非常勤講師 野村典彦」「戦争と慰霊 韓国・全南大学校教授 金容儀」について報告した。この成果は報告書にまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
日本人の書いた紀行文とともに、外国人の書いた紀行文についての調査と分析を進め、一方向ではなく、双方向の視点で時代を捉えることができるようになった。2018年5月には、勉誠出版の『アジア遊学』の特集として、「外国人の見た日本(ニッポン)」が石井正己編で刊行される予定である。2018年3月のフォーラムの成果は、2018年7月に開催する予定のフォーラムと合わせて、2018年9月に報告書にまとめる予定である。若手研究者を巻き込むかたちで、研究を進めることができている。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年7月、東京学芸大学において、「アジア文学交流史を考える─植民地後/植民地前─」をテーマにフォーラムを開催し、研究を推進する。内容としては「講演 植民地文学研究の開拓者・尾崎秀樹 日本・東京学芸大学教授 石井正己」「講演 海峡を越えるテキスト─韓国の「忠臣蔵」、日本の「春香伝」─ 韓国・全南大学校教授 金容儀」「記念講演 近世期韓日愛情小説の展開と仏教─<九雲夢>と<好色一代男>を中心に─ 韓国・檀国大学校教授 鄭ヒョン」「講評 今日の講演を聞いて 日本・上智大学客員教授 韓正美」を予定している。これも報告書をまとめる予定で進めている。 それとともに、現在作成中の日本人の書いた紀行文のデータベースの構築を進め、著者別・地域別の実態を明らかにしてゆく。
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Causes of Carryover |
2018年3月に実施したフォーラムは年度末だったために、期間内に報告書が発行できなかった。この報告書は2018年7月に実施するフォーラムの成果と合わせて、2018年9月に報告書を発行する予定である。
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Research Products
(5 results)