2019 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Cultural and Historical Thoughts on the Formation of Japanese Ancient Gardens and "Kana" Literature
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16K02363
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
袴田 光康 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (90552729)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堂野前 彰子 (岡本彰子) 明治大学, 研究・知財戦略機構, 研究推進員 (50588770)
金 孝珍 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (20638986)
金 任仲 明治大学, 研究・知財戦略機構(駿河台), 研究推進員 (30599577)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 庭園 / 歌合 / 名所 / 歌合 / 州浜 / 国風文化 / 東アジア |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題は「国風文化」形成期における寝殿造庭園と和歌の相互的関係に注目し、10世紀前後の「名所」の発生が「国風文化」の思想的基盤の一因であることを明らかにするものである。この研究を推進するにあたり、9世紀末から10世紀中葉までの仮名文学、中でも特に初期歌合を主な対象として、「池」「州浜」「名所」という三つのカテゴリーに関する用例の収集と分析を行い、併せて平安後期の作庭書である『作庭記』の記述との関連を調査した。 平成28年度は、『新編国歌大観』をテキストとして、「池」「遣水」などの庭園用語を含む庭園関連和歌を検索し、それらの和歌が地名(名所)とどのような関連があるのかを分析した。 平成29年度は、前年度の調査結果から「州浜」と「名所」の関連性が認められる歌合に焦点を当てて研究を進めた。9世紀末から始まる初期の歌合においては「州浜」が必須であり、その「州浜」の多くは各地の「名所」を再現したものであったことから、「州浜」も庭園もともに和歌を詠むために「名所」を再現したものであることを明らかにした。 平成30年度は、庭園と和歌の密接な関係を「国風文化」という視点から意義づけることで研究の総括を目指した。庭園や和歌における「名所」の形成が、日本における自国意識を強化するものであったこと、また、和歌で自国の風景を詠むという独自性の中に漢字文化圏とは異なる価値観が生まれたことなどの結論を得た。こうしたこれまでの研究成果は「古代庭園文化の受容と翻案―寝殿造庭園と「名所」の発生―」(今野喜和人編『翻訳とアダプテーションの倫理』、春風社、2019年)等において発表した。しかし、これまでのデータベースや調査を公開するホームページが未完成であったため、研究期間を一年間延長し、「古代庭園と和歌」(http://heianteien.sakura.ne.jp/)を作成した。
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Research Products
(1 results)