2019 Fiscal Year Annual Research Report
Comprehensive Study on Isemonogatari
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16K02364
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
大井田 晴彦 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (70313179)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 伊勢物語 / 歌物語 / 和歌 |
Outline of Annual Research Achievements |
これまでの『伊勢物語』研究の総決算として、注釈『伊勢物語 現代語訳・索引付』(三弥井書店)を完成させ、出版することができた。本書は、原文(底本:学習院大学蔵本)、語釈、補注、現代語訳、鑑賞、および付録からなる。語釈では、古注以来の注釈の成果を存分に踏まえつつ、新たな解釈を提示した。和歌の他出、他本との異同についても詳しく説明した。また、従来指摘されていない類歌や参考歌も多く取り上げた。鑑賞では章段の魅力をわかりやすく解き明かすことを心がけた。各章段に、どのように「みやび」が語られているかとの観点から『伊勢物語』の本質に迫ろうとした。源氏物語』への影響を多く指摘したことも本書の特色である。『源氏』から光を当てることで、『伊勢』の特徴が照らし出されると考えてのことである。付録では、系図や年表の他、索引を加えた。全自立語索引、和歌初句四句索引を備えたことで、利用の便をはかった。一般読者から専門の研究者まで、幅広い読者を想定した注釈である。 『名古屋大学人文学研究論集』第3号に発表した「伊勢物語と大和物語」では、両物語に共通する章段を取り上げ、比較検討した。『伊勢』に比べて『大和』は低い評価が与えられがちである。しかし『大和』は『伊勢』を意識しつつ独自の論理で新たな物語を志向していることを論じた。今後は『伊勢』からさらに『大和』、ひいては歌物語全般に研究対象を拡げてゆく予定だが、本論文はその出発点として位置づけられる。
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Research Products
(2 results)