2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K02375
|
Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
新美 哲彦 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 教授 (90390492)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | 源氏物語 / 古注釈 / 俗語訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、申請者がこれまでに行ってきた、中古から中世にかけての物語作品における本文・古注釈書・受容に関する研究のうち、『源氏物語』周辺文化の形成に大きく重点を置く。具体的には、(1)『源氏物語』本文と古注釈に関する研究、(2)近世における『源氏物語』俗語訳に関する研究、(3)『源氏物語』周辺作品に関する研究という3項目を柱とする。 このうち(1)については、戦国期の女性である花屋玉栄関連の『源氏物語』古注釈書を、数人の研究者と協力の上、翻刻・出版の準備を進めている最中である。翻刻はほぼ終わりつつあり、チェック段階に入っている。これから解題の執筆を予定している。 (2)の『源氏物語』俗語訳については、梅翁『源氏物語』や『風流源氏』の翻刻を済ませ、チェック段階にあり、さらに近世の『源氏物語』に関する海外の研究者の論文を翻訳し、これもチェック段階にある。今後は、俗語訳『源氏物語』についての論文を執筆した上で、解題などを付し、出版する予定である。 (3)については、5月に、平成28年度中古文学会春季大会記念展として、「文化装置としての『源氏物語』―九曜文庫を中心に―」を企画し、院生の協力のもと、パンフレットを作成した。これは修正を施した上で、早稲田大学図書館のリポジトリに登録された。 また、2017年3月には、第48回古典研究会(於愛媛大学)において「中世王朝物語と和歌」と題し、中世王朝物語における和歌的表現の重要性を、量的変化をもとに指摘した上で、『我が身にたどる姫君』と『恋路ゆかしき大将』の成立時期について、和歌的表現を用いて考察した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
花屋玉栄関連の古注釈書類の翻刻も順調であり、俗語訳『源氏物語』に関する論集の準備も順調である。 また、『源氏物語』周辺作品として、前田家本『枕草子』には手を付けられていないものの、中世王朝物語の和歌的表現についての研究にも手付けけつつある。 よっておおむね順調と判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は、花屋玉栄関連の古注釈書類の刊行、俗語訳『源氏物語』に関する論集の刊行を、予定している。 また、中世王朝物語と和歌については、5月の中世文学会のシンポジウムで報告予定で、いくつかの論文の執筆を予定している。
|
Causes of Carryover |
近世の『源氏物語』に関する海外研究者の論文の翻訳作業が、予定より遅れたため、余剰分が生じ、次年度に繰り越すこととなった。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
余剰分については、予定通り、論文の翻訳作業費に使用する予定である。
|