2022 Fiscal Year Annual Research Report
A Comprehensive Study of the Muromachi Monogatari from a Buddhist Perspective
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16K02384
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Research Institution | Doho University |
Principal Investigator |
箕浦 尚美 同朋大学, 文学部, 准教授 (70449362)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 室町物語 / お伽草子 / 霊験譚 |
Outline of Annual Research Achievements |
室町物語(お伽草子)は、室町時代を中心とした時期の短編小説を指すが、物語の本筋から外れるほどに、様々な故事因縁や知識を盛り込むという一面を持っており、当時の教養・文化・知識などがちりばめられた貴重な資料と言える。本研究は、当時の知識や思想の基底にある仏教という観点から室町物語群を分析することを目指したものである。 本研究では当初、室町物語群の校訂本文・引用句データベースの作成・公表を考えていたが、正確なものを網羅的に公表するのは難しいと考え、個別に問題を掘り下げる形に変更した。近年、情報分野の技術が急速に進んでいることから、本文整理に関しては、近いうちにより効率の良い方法で進められると考えている。 研究期間の前半には、論文「お伽草子における過去世の夢告」で因縁譚と霊験譚とのかかわりを論じ、口頭発表「お伽草子と古典の投企」で申し子譚や殺生罪業観の諸相と変容を検討した。また、天野山金剛寺所蔵の「佚名諸菩薩感応抄」や「能生諸仏経釈」に関する研究を通して、経典を説く方法や霊験譚への関心を強め、期間を延長して課題に取り組むなかで異類物の作品、夢告、霊験譚などにあるような目に見えないものを、当時の人達がどのように捉えていたのかを検討した。最終年度には、同朋大学“いのちの教育センター”の小規模な公開講座(2023年1月24日)で扱った内容を、同センターの広報誌に「お伽草子に見る転生観」と題するエッセイとして報告した。
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Remarks |
箕浦尚美「お伽草子に見る転生観」(『同朋大学”いのちの教育”センターだよりBRIDGE』57、2023年3月)
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