2017 Fiscal Year Research-status Report
日本統治下の台湾における能楽活動の基礎研究ー資料に基く台湾能楽史の構築をめざして
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16K02385
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
王 冬蘭 帝塚山大学, 経済学部, 非常勤講師 (80319920)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
惠阪 悟 帝塚山大学, 文学部, 講師 (20708979)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 台北能舞台 / 戦前、台湾における能謡会 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の代表者王冬蘭は資料調査や資料整理をしている内に、戦前、台湾における唯一の常設の本格的な能舞台の手がかりが見つかり、そして主に「日本統治下台湾における能舞台」というテーマについて深く資料調査、現地調査し、まとめた。下記のテーマについて口頭報告し、論文を完成した。「日本統治下台湾における能舞台」(口頭報告、六麓会、2017年11月12日、)、「台北能舞台」(口頭報告(中国語)獅城(シンガポール)国際戯曲(伝統劇)学術検討会、2017年12月17日)、「戦前、台湾における能謡界」(ミニ口頭報告 第30回能楽フォーラム「近代の演能空間②-今考える「外地演能」」ー2018年3月21日、同フォーラムで、コメンテイターとして戦前、台湾における能謡界の事情を紹介した)。2018年3月末に、論文「台北能舞台」(中国語)を完成し、シンガボール国際戯曲学術検討会論文集編集(シンガポール伝統芸術センター)に提出した。 本研究の分担者恵阪悟は、明治時代から戦前にかけて、日本国内で発行された能楽関連雑誌『能楽』『謡曲界』等に掲載された、台湾における能楽催行記事の収集を行った。また、公開の台湾総督府職員データベース等を利用して、当時の台湾で能楽に関わった人物の情報収集を行った。現段階において、同時期に同じく日本の統治下にあった大連等に対して、台湾における独自性は見出だせず、むしろ近代以前の日本における衆庶の謡曲受容を再現しているような感触を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究代表者の王冬蘭は、実施計画どおり、以前研究されていない台湾における能楽全般を調査し、主に戦前台湾における唯一の常設の本格的な能舞台について、資料調査や現地調査をした。それは大村武という喜多流職分(職業的な能楽師)が1924年に新築した自宅の中で作ったものであることが分かった。其の建造者の生涯、能舞台の建造時間、背景、所在場所、構成様式、使用経緯等について明らかになった。また、現在台北の西門町にある「大村武やきとり」という居酒屋の建物は、戦前、大村武が能舞台を作った自宅の旧居の一部であることを確認することができた。 研究分担者の恵阪悟は前年度に引き続いて、台湾における能楽催行記事の編年的一覧の作成を進めた。それと同時に、台湾において能楽に関わった人物に関する調査を行う予定であったが、時間的制約から、多くを積み残した状態である。それらの課題について可能な限り整理・考察を進め、台湾における能楽とはどのようなものであったのか、その意義についての総括を行う。
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Strategy for Future Research Activity |
計画どおり、30年以降、戦前、台湾における能謡界の構成、主な謡曲師範や社中についての具体的な事情、能楽上演の概況等について、深く調査、考察し、研究成果を社会に発信する。 現地調査、資料調査、整理することの上で、台湾における能楽受容の持つ意義や意味に関する考察を進める予定である。
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Causes of Carryover |
(理由)30年度、資料調査、台湾現地調査するために。 (使用計画)資料調査、台湾現地調査する費用、協力者への謝金、学会、研究会で報告する旅費等に使う。
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Research Products
(4 results)