2016 Fiscal Year Research-status Report
歌と絵と書の融合芸術としての歌仙絵作品の成立及び展開に関する抜本的総合研究
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16K02393
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Research Institution | National Institute of Japanese Literature |
Principal Investigator |
寺島 恒世 国文学研究資料館, 研究部, 教授 (80143080)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 書式 / 散らし書き / 歌仙像 / 扁額歌仙絵 / 異種百人一首 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初計画の歌仙絵作品の書式に関する考察を進めるため、国文学研究資料館所蔵資料である「田播文庫」の「書画」「書跡」部門の資料調査を行った。全体で200点程に及ぶ資料のうち、主要なものを抄出して調査を行い、分類のための整理を行った。その作業と並行して、歌仙絵作品の人物描写に関する考察を行うための調査を進めた。これまで収集した資料とともに、可能な限り範囲を拡大して調査を行った。具体的には、国文学資料館に収集されている異種百人一首に関する図像の調査を行った。 原資料調査としては、鳥取県倉吉市に伝存している中世扁額古資料の調査を行った。本資料は1枚板に数人の歌仙絵を描くきわめて貴重なもので、数年前に発見されたものが、今回所蔵者の小鴨神社により修復がなり、その公開がなされたものである。 当初予定していた海外資料調査に関しては、勤務先業務多端により渡航が不可能となったので、予定を先送りし、次年度以降に行うこととした。ただし、幸いに勤務先の催しでハワイのホノルル美術館を訪れることが叶い、同館所蔵の百人一首を調査することができた。これは後年度に調査をする予定であったもので、結果として順序が代わっただけで、研究の進捗に遅れをもたらすことはなくなった。 研究成果の公表は、当初計画では、後年度を予定していたが、定年退職による総合研究大学院大学の最終講義と、上述のハワイ大学におけるワークショップの場を得、さらに上記の倉吉市での調査にまつわり、鳥取県米子市の「山陰〈知〉の集積ネットワーク研究会」に招かれ、研究発表をした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
基本的に計画通りに進めた。ただし、海外出張調査は予定通りには出来なかったが、別機関の調査がかない、結果としてほぼ順調な進捗となった。 研究成果の発表も当初の計画よりは多くの機会があり、その面では予定を越えて順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度未実施の項目につき、早急に取り組むとともに、計画に即して進める予定である。 さらに、新たな資料が見出される可能性を求め、博捜を続けるとともに、29年度中に百人一首の歌仙絵に関する著書を出版する予定であり、そのための準備も進める。
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Causes of Carryover |
本年度で定年退職を迎えるに当たり、諸業務の整理・引き継ぎに必要な時間が厖大となり、予定の海外調査が不可能となったことによる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度以降は職務から解放され、時間の余裕ができるので、本年度分をも併せ、計画に即して調査を行う予定である。
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