2017 Fiscal Year Research-status Report
薄田泣菫文庫の全容解明に向けての総合的研究―明治・大正文壇の思想的水脈として―
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16K02407
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
西山 康一 岡山大学, 社会文化科学研究科, 准教授 (40448212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 宏行 青山学院大学, 文学部, 教授 (60233756)
竹本 寛秋 鹿児島県立短期大学, その他部局等, 准教授 (20552144)
掛野 剛史 埼玉学園大学, 人間学部, 准教授 (00453465)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 薄田泣菫 / 倉敷 / 書簡 / 原稿 / 近代詩 / メディア研究 / 日本文学 / 文化史 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(平成28年度)は9月3~4日、10月7~8日、3月10~11日の3回、メンバー全体が集まっての資料調査を倉敷市で行った。また、それと並行して、倉敷市文化振興課や薄田泣菫顕彰会さらには本科研費メンバー以外の大学研究者も交えての全体的な会合を持ち、本研究課題における各自の調査研究の報告や、今後の研究計画について検討といったことを行ってきた(もちろん、それ以外にも本研究メンバー各自が、独自に倉敷市に訪れて調査研究を行なってもいる)。 特に大きな行事としては、9月3日に上記の倉敷市文化振興課や薄田泣菫顕彰会、さらには本科研費メンバー以外の大学研究者と協力して、シンポジウム(『薄田泣菫宛書簡集の刊行を終えて』)を開き、これまでの倉敷市蔵の薄田泣菫旧蔵資料(以下、泣菫文庫と呼ぶ)の調査と連続する形で、現在行っている本科研費で行っている研究について、広く報告する機会を持った。また、10月8日には薄田泣菫顕彰会が開いた泣菫忌茶会に本科研費メンバーも出席し、薄田泣菫文庫について、倉敷市長をはじめとした一般市民と語らう機会を設けたことも、本科研費の研究成果の公開の一環としてあげられよう。 これ以外にも、下記にあげるように論文や学会発表等、個々のメンバーによる研究成果の公開も行なってきた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度(平成29年度)は、前年度(平成28年度)に完成させた薄田泣菫文庫の目録や画像データを利用して、今年度は泣菫文庫の資料解析――具体的には、そこに含まれる原稿・日記・メモ類の翻刻や注釈、さらには研究的分析を行うことが研究課題であった。日記やメモに関しては個人的なものであるがゆえにどうしても字が読みづらいこともあって、なかなか分析が進まない面もあるが、原稿に関しては既に成果をあげつつある。そして、上記したようにシンポジウム等も開催し、それらの研究成果の公開も、積極的に行ってきた。 また、最終年度に向けた活動として、これまでの資料の調査研究の成果を集約的に報告するためのものということで、薄田泣菫に関する資料集か読本のようなものを、倉敷市と協力して発行するという計画を現在協議しているところである。最終年度を見据えて研究成果の公開の仕方を検討し、それを着実に推進しつつあるという意味でも、おおむね順調に研究は進んでいると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、先に完成させた泣菫文庫の目録や画像データを利用して、泣菫文庫の原稿・日記・メモ類の翻刻や注釈、さらには研究的分析を行なっていきたい。原稿については既に成果が出て来ているが、日記やメモに関しても成果があげられるように努力していきたい。 また、泣菫文庫には、写真も多く含まれる。上記したように、最終年度に向けて、これまでの資料の調査研究の成果を集約的に報告するためのものとして、薄田泣菫に関する資料集か読本のようなものを発行したいと考えているが、そこではそうした写真データも多く取り込んで、一般にもわかりやすい内容にし、倉敷市民にも利用してもらいやすくしたいと計画している。 以上のような形で、最終年度は研究成果の公開に努めていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
理由:次年度(最終年度)に向けて、これまでの研究成果の集約としての薄田泣菫に関する資料集(読本)の刊行に、現在向かいつつある。しかし、来年度は当初予算を少なめに申告していたこともあり、念のため上記書籍の刊行に差しさわりがあってはいけないと考え、あえて次年度に少しだけ繰り越す形にした。具体的にいうと、上記書籍発行に向けてこの年度末にもいろいろ購入したり、あるいは旅費を必要とする機会も増えたりすることが予想される反面、科研費の場合は少し早めに年度内使用額を決定し報告をしないといけない。そのため、年度内使用額を確定させた後にも、さらに年度末に科研費を利用することもあるかと考えて、少しお金を残しておくように計らった次第である。
使用計画:研究成果の集約としての薄田泣菫に関する資料集(読本)の刊行に向けた研究活動の中で、利用したいと考えている。
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Remarks |
倉敷市美術館で開催されたシンポジウム「「薄田泣菫宛書簡集全3巻」の刊行を終えて」(2017年9月3日)で、西山康一(研究代表者)が司会兼ディシカッサント役を務める。
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Research Products
(3 results)