2016 Fiscal Year Research-status Report
国語教科書の日本近世作品教材の研究―解釈受容と教育の展開の分析
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16K02412
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Research Institution | Fukuoka Women's University |
Principal Investigator |
大久保 順子 福岡女子大学, 国際文理学部, 准教授 (30259791)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 国語教科書 / 近世文学 / 上田秋成 / 垣内松三 / 井原西鶴 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度はまず、教科書教材作品採用状況調査の開始にあたり、福岡教育大学図書館蔵の明治期~昭和初期の中等学校国語教科書資料群の基礎的な調査を、約20点程試行する作業を通して、基礎データのフォーマットを考案した。さらに同書式に基づき、申請者架蔵の中等学校国語教科書の8点のデータ整理を試みた。基礎データ作成に際しては、田坂文穂編『旧制中等教育国語教科書内容索引』(教科書研究センター)その他の関連文献資料を収集して大学図書館に備え、参照した。大正期から昭和初期にかけての旧制中学及び高等女学校の国語教科書において教材採用数の多い代表的な近世文学作品とは何かを定義づけるために、今年度はまずこれらのデータに頻出する近世文学作品名を抽出していった。 先行調査で考察してきた井原西鶴作品以外に、頻出する作品の一例として、まず上田秋成『藤簍冊子』の採用状況に着目した。この作品の「月の前」の章段について、明治期から昭和期にかけての採用状況一覧を作成しつつ、教科書に掲載された本文の校訂の状態、指導書の解説の内容を分析して、その教材化の実態を考察した。この調査研究の成果として、単著論文「国語教材としての『藤簍冊子』「月の前」―近世文学作品教材化の動向―」(福岡女子大学文学部・国際文理学部『文藝と思想』第81号 p1~19、平成29年2月)を発表した。 併せて、日本文芸研究会春季大会(1920年代の出版文化に関する講演)や、日本近世文学会春季大会(近世文学作品の近代以降の研究史についてのラウンドテーブル)などに参加し、研究に関連する情報収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本務校の業務多忙等のため、本研究のためのまとまった調査日程が確保できなかったため、調査データの入力作業が当初の目標よりやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度に予定していた福岡教育大学図書館所蔵の国語教科書教材採録状況調査データの入力作業の続きを行い、29年度には調査データの追加調査を進める予定である。
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Causes of Carryover |
本務校の業務多忙等につき、28年度に予定していた回数の調査を実施できず、旅費その他に当初の予定よりも残額が生じたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度に追加調査を行うため、その旅費等に充当する予定である。
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Research Products
(3 results)