2016 Fiscal Year Research-status Report
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16K02418
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Research Institution | Komazawa University |
Principal Investigator |
近衞 典子 駒澤大学, 文学部, 教授 (20178297)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清登 典子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (60177954)
大石 房子 (金田房子) 清泉女子大学, 付置研究所, 客員所員 (80746462)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 上田秋成 / 俳諧 / 日本文学 / 近世 / 江戸 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28(2016)年5月29日(日)14:30~16:50、駒澤大学第一研究館において研究代表者、研究分担者、研究協力者による第1回会議を開催し、今年度および今後3年間の研究の方針、研究分担の方法、予算の執行方法、成果の公開の方法等について、以下の通り確認した。(1)秋成の全俳諧資料のうち発句を研究対象とし、全発句の注釈を目指す。(2)秋成の全発句についてそれぞれの分担箇所を決定、各自が当該句について研究を進める。(3)研究結果について、所定のスタイルで各自が原稿を作成する。(4)研究結果を持ち寄り、全員で再検討する。(5)最終年度には、それまでの研究成果をまとめ、公開する(以上)。続いてメンバーの一人が秋成の俳系について研究報告を行い、メンバー全員で問題の所在について認識を共有した。さらに、この会議での検討結果を受けて基礎的な資料データを整備し、今後はこのデータに基づいて研究を進めることとした。 10月29日(土)10:00~11:30、日本女子大学・百周年会館を会場として第2回会議を実施、以下のことを報告、および検討した。(1)これまでの各自の進捗状況と今後の見通し。(2)これまでの予算執行状況と今後の展望。(3)作成する秋成全句集(仮称)についての具体的な執筆項目と体裁の検討。(4)分担句の確認と調整(以上)。基本的には個人作業となる研究であるが、会議におけるメンバー間での活発な議論を通じて今後の研究の方向性を明確にすることができた。当日午後には同大学にて開催された俳文学会第68回全国大会に参加、研究発表および共同企画の講談・シンポジウム「江戸講談と江戸俳諧」を聴講した。また、俳文学会に合わせた展示「日本女子大学所蔵連歌俳諧書展示―『連歌提要』から『現代俳句提要』へ―」を見学。 その後は、各自が分担箇所を調査・研究するという方法で研究を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28(2016)年度は秋成俳諧の資料の所在確認と収集、また関連文献リストの作成と問題点の洗い出しなど、メンバー同士の意思疎通を図り研究の基盤を整備して、今後の研究の方向性を定める重要な1年となった。 まず5月には会議を実施して、今後の具体的な研究の方法を検討した。この会議において、次のことを決定した。(1)現在までに判明している秋成の全発句を研究するための基本データを整備する。(2)全発句データに必要事項を追加し、そのデータをメンバー全員で共有する。(3)各自の分担を明確にし、各自の責任において資料の現地調査、内容分析、原稿執筆を行う。(4)最終年度に、研究結果をまとめ、公表する(以上)。この会議の決定に基づき、データの再整備を行い、以後、各自で研究を進めた。 10月には、中間報告会を兼ねた会議を実施。その時点におけるメンバー各自の研究の進捗状況を報告した。その結果、実際に作業を進める過程で幾つかの問題点が浮上してきたことが明らかになったため、それに対する対処の方法を検討した。また、前回の研究会で決定した分担も、必要に応じて見直しをした。 この10月の会議は、上記の「研究実績の概要」項に記述した通り、俳文学会の全国大会の日程に合わせて設定したものであり、会議後の学会発表の聴講を通じて、幅広く現在の俳諧研究の趨勢を知ることができた。また展示を見学し、『連歌提要』を実見できたのも有意義であった。『連歌提要』は秋成の俳諧文法書である『也哉抄』(天明7年刊)にもその書名が引用される、里村家の秘伝を伝える連歌書であり、当時の大坂における連歌・俳諧の潮流と、それに対する秋成の関心を知る上で有益な資料である。今後、秋成と連歌との関係など、より視野を広げて研究する必要がある。 年度末に秋成の新出句を見出したとの報告があった。しかしながら時間的な問題もあり、詳細な検討は翌年度に行うことになった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28(2016)年度は十分な時間をかけて基本的なデータの整備を行った。平成29(2017)年度以降はこれまでの方針を引継ぎながら、昨年度同様、各自で分担箇所についての資料の現地調査、内容分析、および原稿執筆を進める予定である。 しかし、昨年度末に、従来明らかにされている秋成句以外の新たな資料が見出されたとの報告があったため、5月に第3回会議を実施する予定である。この会議においては、(1)これまでの研究中間報告、(2)新出句の報告と検討、を行う予定である。具体的には、まず新出句を検討し、その真偽を含め、資料価値を判断する。その報告と得られた新知見をもとに、これまで視野に収めていなかった当時の俳壇の状況と、秋成の俳諧活動を改めて精査し、より広範に秋成句を探索する予定である。その結果、しかるべき成果が得られた場合には、学会口頭発表及び論文による公開を実施したいと考えている。加えて、次年度以降の活動計画をPDCAサイクルを構築しながら企画する。また、メンバーによる研究中間報告を行い、演習形式で研究発表し、意見交換を行う。以上の2点を通じて、今後の秋成発句の発掘と全句集作成における課題を明確にし、今後の研究の方向性を再確認する場とする。 10月頃には第4回会議を実施し、それまでに各自が執筆した原稿を集積する予定である。全句集作成に向けて、着実に各自の成果を集約・蓄積していく。また、集約された原稿を対象に討議を重ね、各句の解釈や執筆項目の適否を検討し、よりよい成果を得るべく意見交換を重ねていこうと考えている。 以上の調査・研究を通じて、秋成の発句の全体像を把握し、最終年度に向けてメンバーの成果をとりまとめ、今後の課題を明確にしていきたい。
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Causes of Carryover |
平成28(2016)年度に資料を閲覧する計画を立てていた資料所蔵機関があり、そのための旅費として確保していた。しかしながら先方の都合により、当該年度中に実施することができなくなった。翌年度以降に改めて日程を調整し、調査に赴く予定であるため、今回は別の用途で使用することはせず、翌年度分として請求することにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29(2017)年度には、前年度に行くことができなかった資料所蔵機関と日程を再調整し、現地調査を行う予定である。そのための交通費として執行する心積もりである。
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[Presentation] 関東遊歴時代の蕪村2016
Author(s)
清登典子
Organizer
特別企画展「東と西の蕪村」特別講演会
Place of Presentation
佐野市立吉澤記念美術館地域交流センター
Year and Date
2016-12-04 – 2016-12-04
Invited
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