2020 Fiscal Year Research-status Report
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16K02435
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Research Institution | Seisen University. |
Principal Investigator |
大石 房子 (金田房子) 清泉女子大学, 付置研究所, 客員所員 (80746462)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
玉城 司 清泉女子大学, 付置研究所, 客員所員 (20410441)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 鳳朗(鶯笠・対竹) / 一茶 / 近世後期俳諧 / 地域文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
当初研究期間の最終年度にあたり、「成果のまとめと発信を行う」という申請時の計画に沿って、本研究における成果を論文集にまとめ、書籍として刊行した。 今年度は、コロナ拡大のため研究会は開かなかったが、スカイプやメール、郵便を通じて、研究代表者金田と分担者玉城とで書籍の構想について討議。執筆論文の内容の検討や資料翻字のチェックなどの意見交換も同様の方法で頻繁にやりとりを行い、共同して研究を進めることができた。 成果刊行物の書籍は、これまで研究誌に発表してきたものを再検討するとともに、これに新稿を加え、さらに具体相を示す資料紹介を充実させることとした。鳳朗の句集や紀行文を翻刻し注を加える作業や、調査で発見した連句懐紙や軸物の紹介がこれにあたる。また、全国的なネットワークをもつ近世後期俳諧の広がりを伝えるため、研究会でご講演いただいた方々や資料調査でお世話になった方などに寄稿を依頼した。そして、なるべく多くの人に向けて成果を発信できるよう、選書という手に取ってもらいやすい形態で刊行することにした。 4月に原稿依頼、出版社を決定。10月末を締め切りとした。コロナ下で調査に困難も危惧されたが、充実した論考が集まり、3月16日に刊行することができた。研究の空白期であった近世後期俳諧を知る上で基本となる書となったと考える。 また、研究会として行ってきた『矢口丹波正日記』の解読作業の成果は、特に地方演劇に着目して地域の文化活動の中に位置づけ、研究協力者時田が論考としてまとめ発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまで月並みと切り捨てられてきた近世後期俳諧について、鳳朗と一茶を軸に光をあて、その広がりと様相を具体的に示した書籍を刊行することができた。研究の空白期となっていた時期の俳諧活動の活発な営みと特色を、調査を重ねることによって得た結果と考察によって明らかにしたもので、一定の成果をあげ得たと考える。
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Strategy for Future Research Activity |
本来は今年度が最終年度であったが、予定していた資料の調査が十分に行えなかったため、次年度に引き続いて行いたい。特に鳳朗が鶯笠と名乗った時期の活動に注目して俳書を見てゆきたいと考えている。併せて書簡の記述から、地方俳人の俳書出版の実態について考察したい。
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Causes of Carryover |
本年度、図書館の利用制限や移動自粛のため調査ができなかったため。次年度、国文学研究資料館所蔵のマイクロフィルム・紙焼き資料の俳書を主に調査を行いたい。
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Research Products
(5 results)