2016 Fiscal Year Research-status Report
後期ヴィクトリア朝イギリスにおけるファッションと消費のダイナミズム
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16K02437
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
十枝内 康隆 北海道教育大学, 教育学部, 准教授 (80359489)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 世紀末英文学 / ヴィクトリア朝 / マスキュリニティ / ファッション / 消費 / ウォルター・ペイター / オスカー・ワイルド / マックス・ビアボウム |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題研究の1年目にあたる2016年度は,所属機関である北海道教育大学より2015年度に学長戦略経費を受けて研究していた課題(「後期ヴィクトリア朝イギリスにおけるファッションと男性性のダイナミクス」)を継承・発展することから出発した。両課題に共通する対象作家として,ウォルター・ペイター,オスカー・ワイルド,マックス・ビアボウム等のテクスト分析を継続的に行ない,本課題研究に係る成果を加味した上で『北海道教育大学紀要』に雑誌論文「ダンディとしてのウォルター・ペイター」を発表した。その後も引き続き,対象作家を世紀末のマイナー詩人等に拡大しつつ分析を続けている。 また,日本ペイター協会,日本ワイルド協会の全国大会に参加し,最新の研究成果について知見を得るととともに,これらの学会に属する研究者から,本課題に対する意見を受けることができた。 ヴィクトリア朝後期から20世紀初めにかけてのイギリスにおける男性性研究について先鋭的な研究を進めている大阪市立大学の野末紀之教授の科研グループ(「男性性の構築と軍国主義精神の発揚―19世紀後半から20世紀初頭のイギリス文学周辺」)とは9月と3月の2回合同研究会を開催した。同研究会において口頭発表を行ない,また,ファッション・男性性・消費をめぐる,同時代の文学テクストや関連する理論的基盤について意見の交換を行なった。 今年度は日本ペイター協会等の年次大会において研究発表を行なうと同時に,校務多忙や出版事情等により昨年度中に活字化することのできなかった論文を所属機関の紀要や,日本ペイター協会の機関誌である『ペイター論集』に投稿・発表の予定である。また,野末紀之教授の科研グループとの合同研究会も引き続き開催の予定となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
所属機関から学長戦略経費を受けて研究していたテーマを継続的に発展させることで初年度は順調な滑り出しができた。対象とする資料についても,徐々に幅を広げつつ継続して分析を行っている。また,他の研究者や研究グループとの交流や意見交換も予定通り進んでいる。ただし,校務多忙のため,国内外の図書館,博物館でのリサーチを行なうことができなかったことが次年度以降に残された課題である。
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Strategy for Future Research Activity |
国内外の図書館,博物館でのリサーチを計画的に実施することで,対象となる資料の質と量の向上を図り,綿密な分析を加える。また,他の研究者グループとの連携をより一層密にするとともに,所属する学会等において研究発表(口頭発表ならびに研究論文)を行なう。
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Causes of Carryover |
校務多忙により,当該年度に予定していた国内外の図書館,博物館における資料調査を行なうことができなかったため,その分の予算を使用することがなかった。また,当該年度はすでに入手済みであった資料の分析が中心となったため,物品費の執行がなかった。また,これらの事情から,新規資料の整理等のために必要する人件費についても執行していない。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
校務多忙についてはかならずしも解消していないが,タイム・マネジメントを工夫することにより,国内外における資料調査を精力的に行なう。また,入手済の資料についての分析が順調であるため,今後は新規の資料の購入を進めるとともに,これらの資料の整理に必要とされる物品や人件費等についても執行の予定である。
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