2017 Fiscal Year Research-status Report
F・ポルトゥス他による古典翻訳の英国初期近代詩人の神話創造への影響
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16K02443
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
清水 徹郎 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (60235653)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ギリシア / ホメーロス / 英国 / ルネサンス / 受容 / シェイクスピア |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は、16世紀後半におけるホメーロスを中心とする古代ギリシア詩・文学の受容に関する、1990年代以降の比較的最新の先行研究の確認、絵画・彫刻に代表される造形芸術におけるホメーロス受容の調査、テキストにおける受容形態の多様性の考察を中心に研究計画を進めた。2000年代に入ってからの古代ギリシア詩・文学の受容研究の顕著な進展は、従来ごく稀だとされてきた16世紀後半の英国における古代ギリシア詩・文学の受容が、曖昧な受容経路と様態であるながらも、極めて活発に行われていたとする有力な解釈が出始めている点にある。英国初期近代におけるホメーロス受容の見えにくさと曖昧さが、実はその広がりの大きさ、浸透度の深さの反映であった可能性が強く感じられ、従来予想されなかった程に豊穣な研究テーマであることが見えてきた。造形芸術におけるホメーロス受容に関しては、イタリア美術におけるピントリッキオ、ボッティチェリ、ストラダノ、A・アッローリ、G・B・カステッロ等の作品における寓意の諸相を比較する作業を行ってきた。文学テキストの面では、多数存在が確認されているラテン語訳ホメーロス本文のうちのいくつかに加え、ウェルギリウス経由のホメーロス受容の代表例としてダンテのテクスト分析を始めた。シェイクスピアを主とする英国詩人、ダンテ、希羅対訳本ホメーロス(複数)、ウェルギリウス叙事詩を比較するにあたっては、特にシミレー、メタフォラ、メトニュミーの比較対照研究を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
英国ルネサンスにおける古代ギリシア詩・文学の受容は極めて限られていたとする従来の解釈・伝統を論破することを一つの目的として本研究計画を開始したが、研究計画を進めるにあたりギリシア詩受容は予想以上に広がりを持つ豊穣な研究テーマであることが見えてきた。また個々の作品における受容の問題も多様であり、詳しく調査すべき極めて価値のある問題であることが明らかになってきたため。
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Strategy for Future Research Activity |
15~16世紀ヨーロッパの造形芸術におけるホメーロス受容の問題の調査を引き続き行うとともに、対訳本ホメーロス、ヘーシオドスのラテン語訳テキスト、ウェルギリウス、オウィディウス、ダンテ、シェイクスピア、マーロウ、スペンサー等におけるシミレー、メタフォラ、メトニュミー等の比喩表現の比較対照研究を行い、英国初期近代におけるホメーロス受容の様態を図像的および言語的イメージの両面から明らかにすることを目指す。
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Causes of Carryover |
平成29年度当初調達を予定していた資料が入手不可能となったため、同資料購入予算相当額が未使用となった。次年度は16世紀ホメーロス受容関連一次資料調達費用として使用する計画である。
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Research Products
(2 results)