2017 Fiscal Year Research-status Report
学際的なライフ・ライティングの枠組みで捉えるメタバイオグラフィーの系譜の研究
Project/Area Number |
16K02446
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
星 久美子 愛知学院大学, 文学部, 准教授 (20572142)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ライフ・ライティング / メタバイオグラフィー / メタバイオグラフィカル・フィクション / バイオフィクション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近年、注目されてきている、学際的・分野横断的ライフ・ライティングの枠組みの中で、従来の伝統的な伝記とは異なる「メタバイオグラフィー」を系譜的に研究することを主目的としている。初年度(平成28年度)は、「メタバ イオグラフィー」の定義を確立すべく、「ジャンルが曖昧である」、「ファクトとフィク ションの境界が曖昧である」、「バイオグラフィーを書くという行為について自己言及的である」、そして「バイオグラフィーの対象 よりバイオグラフィーの著者についてより多くが明らかにされる」という特徴があることを明らかにしたが、平成29年度はその定義を踏まえてメタバイオグラフィカル・フィクション――ヴァージニア・ウルフ『フラッシュ』、ジュリアン・バーンズ『フロベールの鸚鵡』、A・S・バイアット『抱擁』など――について考察を進めた。また、初年度(平成28年度)にカーディフ(英国)で行われた国際学会でのパネル発表の原稿を大幅に改訂し、論文“Virginia Woolf’s Flush: Fictional Metabiography/Metabiographical Fiction”として『愛知学院大学文学部紀要』(第47号)に投稿、掲載された。さらに、夏期休暇には、一週間、オックスフォード大学附属図書館(英国)において、研究テーマに関連する資料収集を集中的に行った。国内では、日本英文学会第89回全国大会、日本ロレンス協会48回大会、日本ヴァージニア・ウルフ協会例会などに出席し、英米文学の分野における最新情報の収集と意見交換を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成29年度は、平成28年度に行ったふたつの口頭発表の原稿を改訂し日本の論文として発表する予定だったが、一本に留まった。また、平成29年7月にロンドン(英国)で開催された第14回国際D・H・ロレンス学会で口頭発表する予定だったが、できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、平成28年度にセント・アイブズ(英国) で行われた国際学会での口頭発表の原稿を大幅に改訂して論文とする予定である。夏期休暇などを利用して、研究テーマに関連する情報収集と意見交換を目的に、Centre for Life-Writing Research (King’s College London)とOxford Centre for Life-Writingが主催する学会やセミナー、MLA年次総会の「バイオフィクション」のセッションなどに参加する予定である。本研究課題の最終年度であるため、伝統的なバイオグラフィーからメタバイオグラフィー、さらにメタバイオグラフィカル・フィクションへという系譜を明らかにしたい。
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