2016 Fiscal Year Research-status Report
ジョン・キーツの詩論と自然観に対するピクチャレスクの影響について
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16K02454
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
江口 誠 佐賀大学, 全学教育機構, 准教授 (50332060)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ピクチャレスク / ロマン主義 / イギリス文化研究 / キーツ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、イギリス・ロマン派詩人ジョン・キーツの詩におけるピクチャレスクの影響を明らかにすることを目的としている。平成28年度はピクチャレスクに関する資料収集と関連する概念の整理に注力した。ピクチャレスクの概念は多種多様であるため、まずはピクチャレスク論を考察する上の前提となるエドマンド・バークの著作『崇高と美の起原』から読み取れる「崇高と美」の概念、さらにはカントが『判断力批判』で論じた「崇高論」をまとめることにした。続いて、ウィリアム・ギルピン及びユーヴドール・プライスのピクチャレスク論について、彼らの主張をまとめた。それと同時に、特に関連する19世紀初頭イギリスの政治や文化に関する資料収集も行い、当時のイギリス文化や社会に対してピクチャレスクがどのような影響を与えたのかというテーマでの研究も行っている。 さらに、ジョン・キーツが1818年夏に親友のチャールズ・ブラウンを連れ立って赴いたスコットランド徒歩旅行に注目し、その旅程、詩や書簡を手掛かりに、ピクチャレスクの影響について考察した。その結果、キーツは崇高、美、もしくはピクチャレスクといった概念とはまた違った価値観をイギリスの風景に見い出すようになったのではないかと結論づけた。以上の研究成果に関しては、日本英文学会九州支部大会において口頭発表の形で発表した。 また、キーツの詩におけるピクチャレスクの影響については、共著『詩的言語のアスペクツ ロマン派を超えて』の中で「詩と詩論の相互作用とその変容ー「秋に寄せて」におけるキーツの新たな試み」という題目でその成果を発表できたことも付け加えたい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
資料収集及び文献の精読については概ね順調に推移している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、前年度に引き続いてピクチャレスクに関する資料収集を行うとともに、成果発表ができるようにまとめたい。
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Causes of Carryover |
物品費及は概ね当初の予定額に近いものとなったが、旅費に関しては成果発表の回数が想定よりも少ないこともあり、予定額に満たなかった。そのために少々の繰越金が生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は未使用金を資料収集、学会発表のための旅費等に充てる計画である。
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