2018 Fiscal Year Annual Research Report
The Influence of Picturesque Aesthetics on John Keats's Poetics and His Views on Nature
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16K02454
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
江口 誠 佐賀大学, 全学教育機構, 准教授 (50332060)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | グランドツアー / ピクチャレスク / キーツ / ロマン主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、平成28年度および平成29年度に引き続いてピクチャレスク論の概念の整理を引き続き行った。また、既にこれまで申請者が幾度となく熟読しているジョン・キーツの詩と彼の書簡を、今度はピクチャレスクという視点から再度精読し、得られた研究成果を基にピクチャレスクがキーツに与えた影響について考察する。両者についての研究の多くは彼の後期の代表作でもある『ハイペリオン』及び『ハイペリオンの没落』を取り扱ったものに集中している。従って、本研究では、それらの作品を含めてキーツの作品を網羅的に読み込み、イギリスの文化的な側面からキーツとピクチャレスクとの関係性について調査した。 平成30年度の研究成果としては、1本の論文を上梓することができた。そのタイトルは「イギリスにおける徒歩文化(1):グランド・ツアーとピクチャレスク」であり、その概要は以下の通りである。17世紀から19世紀のイギリスで人気を博したグランド・ツアーの流行とその衰退を概観し、その後に続いたピクチャレスク・ツアーと徒歩文化について調査した。本論の前半では、裕福な貴族の子弟達がヨーロッパ、とりわけフランスやイタリアに赴き、座学で学んだ知識を直に自らの眼で確認する目的であったが、実際には十代半ばで海外旅行をするのはあまりにも時期尚早である、または危険であるという批判もあったことを明らかにした。本論の後半では、グランド・ツアーの期間、参加者の年齢、そして参加者数等の記録を検証した。その結果、平均期間は徐々に短くなるとともに、平均年齢は徐々に高くなり、地主階級や中産階級の旅行者の増加に伴って参加人数は増えたことも明らかとなった。最後に、ピクチャレスクについて触れた。
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