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2019 Fiscal Year Research-status Report

トマス・マロリー『アーサーの死』の出版史から探る18、19世紀英国の中世主義

Research Project

Project/Area Number 16K02461
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

不破 有理  慶應義塾大学, 経済学部(日吉), 教授 (60156982)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2021-03-31
KeywordsSir Thomas Malory マロリー / Morte Darthur『アーサー王の死』 / アーサー王物語 / 夏目漱石 / 「薤露行」 / 19世紀出版史 / Lady of Shalott / Alfred Tennyson テニスン
Outline of Annual Research Achievements

2019年12月国際アーサー王学会日本支部年次大会において「_Morte Darthur_完成550年記念シンポジアム Malory in Japan-日本では近年どのようなMalory研究がなされてきたか-」が開催され、筆者は「本の声を聴く―Globe版から1816年版の判型特定へ-」と題した発表を行った。サー・トマス・マロリー『アーサー王の死』の19世紀における出版史が要となる本研究課題を遂行するにあたり、これまで海外の図書館で収集した未発表資料も活用して構成した。発表はその書誌学的成果を特に高く評価され、2020年発行予定の国際学術誌_POETICA_特集号への寄稿を依頼されている。
また、2019年10月の日本ケルト学会のフォーラム・オン 「ルナン、アーノルド、イェイツ――近代ケルト概念の源流を探る」においては、「マシュー・アーノルド『ケルト文学の研究について』: その成立と人種論における意義」と題して、現代も流布するケルト観がどのようにイングランドにおいては形成されたのかについて考察した。ブルターニュのエルネスト・ルナンの『ケルト諸人種の詩歌』を引継ぎつつ、アーノルドによって、現代の定型的「ケルト観」がいかに形成されることになったのかを解き明かすことに寄与し、本稿は2021年刊行予定の論集に向けて執筆準備中である。19世紀の人種論の思潮と19世紀におけるトマス・マロリー像とアーサー王物語への評価の変化の背景を探る視点にも接続しうる研究になったと考えている。
また、これまでのマロリーのテクスト出版と受容の研究を広げ、日本における受容史の観点から論じる可能性として、引き続き夏目漱石の「薤露行」の論考は、比較文学的視点からもさらに発展させ、漱石研究にも寄与できると考えている。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

2019年3月に発表した夏目漱石の「薤露行」の論考をさらに深め、英語で発表し英語による論文刊行を目指していた。しかしながら、2020年7月にイタリアで開催予定であった国際アーサー王学会がコロナ禍の影響で中止となり、英語による論文発表の場がなくなり、研究者との交流の機会を失った。また2019年3月に英国の図書館をめぐり、文献の確認調査を実施する予定であったが、同様にコロナ禍による渡航自粛のため、論文執筆に重要な資料の収集と確認ができなかったため、論文の方向性を修正する必要に迫られている。

Strategy for Future Research Activity

1.2019年3月に発表した夏目漱石の「薤露行」の論考を海外では少ない漱石研究に資するため英語による論文刊行を目指したが、本年7月の国際学会が中止となったため、明治期におけるテニスンやマロリーの受容および当時の舞台芸能記録から実証考察し、まず日本語による論文として発表したい。
2.2019年10月の日本ケルト学会のシンポジウムにおいて発表したマシュー・アーノルドのケルト観に関する論考を基に、2020年10月をめどに論文にまとめ、19世紀の人種論の思潮と19世紀におけるトマス・マロリーの人物像とアーサー王物語への評価の変化の背景を探る一助としたい。
3.2019年12月の国際アーサー王学会日本支部におけるトマス・マロリー『アーサー王物語』刊行550年を記念して開催された日本におけるマロリー研究のシンポジウムでの発表を2020年8月末に_POETICA_に投稿するように依頼されている。『アーサー王の死』の1816年版についての書誌学的論考をまとめる予定である。
4.今年度見合わせざるを得なかった英国での現地調査が再度可能となれば、書誌学的調査結果をまとめ、マロリーの19世紀テクストの出版をめぐる印刷工房・編集者・出版者・読者を通したアーサー王伝説の復興の様相を書籍にまとめることを目指す。

Causes of Carryover

2020年3月に英国の図書館へ調査旅行を実施する予定であったのが、コロナ禍による渡航自粛により、調査を中止せざるを得なかった。そのため海外渡航費および滞在費の相当額が次年度に繰り越しとなった。
中止となった調査旅行を2020年夏に実施可能であれば実施したいが、コロナ禍が終息していない場合、2020年度内で可能な時期を見計らい実施こととする。調査実施が不可能となった場合、訪問先の図書館に文献の画像複写を依頼したい。
2019年度は資料収集と調査を目的とした渡英が不可能となったが、本研究に極めて近いマロリーのテクスト出版史の著者である米国研究者と連絡が取れ、19世紀のアーサー王物語コレクションの入手情報に恵まれた。渡航によって収集するはずであった資料を補う文献資料として購入し、今後のテクスト出版史の研究に活用したい。

  • Research Products

    (3 results)

All 2019

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 2 results)

  • [Journal Article] Aya SHIMIZU in Female Arthurian Scholars: An Initial Collection of Tributes2019

    • Author(s)
      Yuri FUWA
    • Journal Title

      Journal of the International Arthurian Society

      Volume: 7 no.1 Pages: 33-34

    • DOI

      https://doi.org/10.1515/jias-2019-0002

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] マシュー・アーノルドの『ケルト文学の研究について』: その成立と当時の人種論における意義2019

    • Author(s)
      不破有理
    • Organizer
      第39回日本ケルト学会全国大会フォーラム・オン 「ルナン、アーノルド、イェイツ――近代ケルト概念の源流を探る」
    • Invited
  • [Presentation] 本の声を聴く―Globe版から1816年版の判型特定へ-2019

    • Author(s)
      不破有理
    • Organizer
      国際アーサー王学会日本支部年次大会「Morte Darthur完成550年記念シンポジアム」Malory in Japan -日本では近年どのようなMalory研究がなされてきたか-
    • Invited

URL: 

Published: 2021-01-27  

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