2020 Fiscal Year Research-status Report
古英語格言詩 Maxims I, II に関する総合的研究
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16K02462
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
唐澤 一友 立教大学, 文学部, 教授 (00347288)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 古英語文学 / アングロ・サクソン学 / 中世英文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度に引き続き、古英詩 Maxims I における heavy hypermetric verses, single half-lines, three-position verses についての研究を行った。昨年度以来の課題であり、これまでに行った専門家との議論等を踏まえ、この問題についての論文を執筆し、これを完成させることが出来た。この論文は、この課題に取り組むに当たって相談や議論をした専門家のうちの一人に勧められ、近い将来出版される古英語韻律研究に関する論文集に収録されることとなった。また、この研究を踏まえ、Maxims I のテクストを編集し、本研究の最終目標であるこの作品のエディションの中心をなす本作品のテクストを整備した。この他、これまでの研究を踏まえ、Maxims I の写本、構造、韻律、言語等、エディションに付属する解説についてもかなりの程度執筆を行うことが出来た。 Maxims II に関しても、エディションの完成に向け、これまでの研究を踏まえて、その写本、構造、韻律、言語等に関する解説を執筆した。 Maxims I および Maxims II はいずれも格言を集めた詩であるが、本年度にはこれらの作品に収められた格言の言語を分析し、古英語の格言の特徴についても論考をまとめ、その結果をオンラインで行われたオクスフォード大学の研究会で発表した。この論考についても、さらに洗練させた上で、本研究の成果物として出版する予定のエディションの中に組み込む予定のものである。 この他、現在行っている古英詩のエディション作成の作業と関連し、その意義や難しさ、利点や問題点等について、Maxims Iの場合の具体例を挙げながら論じた論文を執筆・出版した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は英国の専門家との面談や現地での調査を重視して計画されており、英国における研究活動が重要な部分を占めるが、今年度はコロナウィルスの影響で渡英することがかなわず、そのため、英国で行う予定であった研究活動の多くが出来ないまま年度を終えることとなったため。
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Strategy for Future Research Activity |
本来は令和2年度が研究最終年度であったが、上記のような理由から研究がやや遅れているため、一年間の研究期間延長を申請した。今後もコロナ禍の状況がいつ改善されるか予測できない状態であり、いつ英国における研究活動を再開できるか分からない状態ではあるが、延長された一年間で遅れている部分を出来る限り進め、年度末までには本研究の最終目標であるMaxims IおよびMaxims IIのエディションを概ね完成させ、これを出版するための出版社の選定が行えるような状態で年度を終えるべく最善を尽くしたい。
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Causes of Carryover |
本来の計画では渡英し研究活動を行う予定であったが、コロナウィルスの影響でそれが出来なかったため、その分の費用が未使用のまま残った。未使用額は、本年度出来なかった英国での研究活動を次年度に行う際に使用するつもりである。
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