2018 Fiscal Year Annual Research Report
Women's Literature as Social Movement
Project/Area Number |
16K02465
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
松永 典子 早稲田大学, 教育・総合科学学術院, 准教授 (00579807)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 英米文学 / ジェンダー / フェミニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本課題「社会運動としての女性文学」は、二〇世紀半ばのフェミニズムの政治的社会的文化的な変容の過程を、ナショナルかつグローバルな文脈におくとともに、また、系譜的に捉えることによって、その批評的可能性を明らかにすることを目的として実施された。本研究計画の最終年度にあたる2018年度においては、(1)私出版(ジン)の理論を考察する研究発表、(2)1930年代のイギリスの大衆と知識人作家のユートピアのヴィジョンに関する研究発表、をおこなった。また、(3)映画作品における女性ケア労働者表象についての研究発表を、イギリス・ポーツマスにおいて開催された国際学会でおこなうことによって、専門の異なる他の研究者たちと共通の問題を議論することで、多くの新たな知見を得ることができた。さらに、(4)モダニズムにおける最新文献を書評することを通して、出版文化という観点から社会運動を考察することが可能となった。(5)所属学会の学術研究書の特集のとりまとめをおこなうことができた。 計三年間の研究期間を通して得た主たる研究成果は、第一に、ヴェラ・ブリテンの代表作の分析および『メアリー・ポピンズ』の原作および映画の分析を通じて第一波フェミニズム後期から第二波フェミニズム初期の状況に関連づけて位置づけることができたこと、第二に、ジン(私出版)、映画、小説、出版経営等から文学という社会運動を多角的に考察する視座を得たこと、である。最後に、これらを通じて、次の研究プロジェクトの構想につながったということも、期間全体の大きな成果として考えている。
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