2018 Fiscal Year Annual Research Report
AN ANALYSIS OF SHAKESPEARE'S WORKS AND THEIR RECEPTION FROM THE STANDPOINT OF CULTURAL REPRESENTATIONS
Project/Area Number |
16K02470
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
高田 康成 名古屋外国語大学, 現代国際学部, 教授 (10116056)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 超越 / 自然 / 宗教改革 / 父性 / 個 / 異界 / 世俗 |
Outline of Annual Research Achievements |
『ハムレット』における(a)「超越性・絶対性」と(b)「自然・本性」の表象分析を行った。(a)については、ポスト宗教改革の文脈のなかで「絶対性」の表象が崩壊する様を「異界」の設定、「マクロ・ミクロコスムの照応」、「中心の崩壊」、「世俗的主体の誕生」、「懐疑論」等々の常套的なテーマを再考することにより、包括的な分析を行った。なかでもグリーンブラットの「煉獄」に焦点を当てた考察は(新)歴主義的な方法の成果であり、C・シュミットの「アングリカン」に触れた考察は、受容史的側面からの考察として裨益するところが大であった。(b)についても、ポスト宗教改革の脈絡において、予定調和的な宇宙観に結びついた「自然」観念の崩壊という古典的なテーマとの関連で、「血統・血族」、「家・家族」等といった伝統的な価値について、その表象を改めて分析した。ここでは、日進月歩のジェンダー論を参照することにより、従来の近代化論との架け橋を試みた。加えて、シェイクスピアの作品世界における対照研究の視点からの(a)(b)双方に係る補強的考察として、父親・父性の(形式的・実体的)問題を前提とする作品(『コリオレイナス』、『ヘンリー五世』、)との比較分析を行った。これにより、『ハムレット』という作品を、「ローマ史劇」と「英国歴史劇」といった、シェイクスピアの作品宇宙の中では、ある程度まとまりのある小作品世界との、テーマ的および構造的な関連づけが可能となった。
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