2016 Fiscal Year Research-status Report
シェイクスピア作品におけるグローバル経済の影響と物質文化への人々の関心
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16K02471
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
勝山 貴之 同志社大学, 文学部, 教授 (30204449)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | グローバル交易 / 英国消費文化 / シェイクスピア / イスラム文化圏 / グローバル経済 / 『間違いの喜劇』 / 『じゃじゃ馬馴らし』 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は研究の初年度ということもあり、関連書物および論文などの資料収集を中心に行なった。また研究過程の中間発表のため、学会誌への投稿や学会・研究会での研究発表を行なった。 16世紀のグローバル交易の実態を明らかにするため、収集した資料をもとに、キリスト教文化とイスラム教文化の交流をめぐる研究調査の途上である。当時のキリスト教文化圏とイスラム教文化圏では、商取引が盛んに行なわれており、両者の間では、学問の交流をはじめ、衣服や絨毯のデザイン、食器類の装飾、建築様式など、様々な文化の越境と受容の様子が認められる。こうした文化交流は、演劇作品にも影響を及ぼしていたことを確認できることから、研究結果を論文として学会誌Shakespeare Journalに投稿した。 当時の交易の様子を探ると、小アジアはイスラムとの商取引の盛んな地方であったことがわかる。小アジアのエフェサスを舞台に展開される『間違いの喜劇』を、イスラムとの経済交流という側面から分析し、「グローバル交易と『間違いの喜劇』」と題する研究として、日本シェイクスピア学会で発表した。学会員との意見交換を参考に加筆し、次年度に論文として発表したい。また作品『じゃじゃ馬馴らし』の舞台となったイタリアのパドュアに、当時のロンドンの経済状況が重ね合わされていることを論証した研究発表「『じゃじゃ馬馴らし』と16世紀の英国経済」を関西シェイクスピア研究会で、加筆修正したものを「グローバル交易と消費社会ロンドン―The Taming of the Shrewをめぐって」と題してエリザベス朝研究会で発表し、参加者と意見交換をした。更なる資料収集と加筆の後、こちらも次年度、論文として発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度ということもあり、研究資料の収集と中間発表的な研究結果の公開は順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に学会や研究会で研究発表を行なったテーマを論文としてまとめ、学会誌に投稿する予定である。昨年10月の日本シェイクスピア協会の大会で発表した「グローバル交易と『間違いの喜劇』」は、同志社大学英文学会学会誌『主流』への投稿を予定している。また関西シェイクスピア研究会およびエリザベス朝研究会で発表したThe Taming of the Shrew論は、同志社大学人文学会学会誌『同志社大学英語英文学研究』に投稿するつもりである。その後、次なる研究対象である作品Troilus and Cressidaについての資料収集を開始したい。
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Causes of Carryover |
研究計画の初年度であったため、資料の購入・収集が不充分であったことから、予算を消化できなかった。次年度以降は、順調に資料収集が進むと確信している。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
日本国内で収集可能な文献資料を購入、あるいはインター・ライブラリー・サーヴィスを使って,国立大学図書館・私立大学図書館から可能な限りの資料収集に従事したい。
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