2018 Fiscal Year Research-status Report
シェイクスピア作品におけるグローバル経済の影響と物質文化への人々の関心
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16K02471
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
勝山 貴之 同志社大学, 文学部, 教授 (30204449)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | ルネッサンス演劇 / シェイクスピア / 近代初期演劇 / グローバル交易 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、グローバル経済とシェイクスピア演劇の関係を探求しようとするものである。グローバル交易の時代に、経済の発展は人々の心象に大きな影響を与えた。当時の経済状況の変化を解き明かしながら、様々な交易品がどのように社会に流通し、消費されたのかを解明することによって、人々の物質欲を探求し、それを演劇作品の中にあとづけたい。 シェイクスピアの執筆した、『間違いの喜劇』、『じゃじゃ馬馴らし』、『空騒ぎ』、『トロイラスとクレシダ』、『尺には尺を』、『アテネのタイモン』などを取り上げ、それぞれの作品中に見られるグローバル経済の影響について論じていきたい。 平成30年度は、科研の研究目標に沿って、1本の論文と2本の書評を発表した。(1)「『空騒ぎ』と食のイメージ-1590年代におけるスペイン無敵艦隊の脅威-」「同志社大学英語英文学研究」第100号 pp.1-22. (2)書評 Andras Kisery, Hamlet’s Moment: Drama and Political Knowledge in Early Modern England (Oxford University Press, 2016) Shakespeare Studies, Vol.57, 2019 pp.34-6. (3)書評 David Hawkes, Shakespeare and Economic Theory (Bloomsbury, 2015) 『関西シェイクスピア研究会会報』 第40号 p.6. また、『トロイラスとクレシダ』と『尺には尺を』について、資料収集および論文執筆の準備中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
『間違いの喜劇』、『じゃじゃ馬ならし』の2作品については、学会での口頭発表を経て、既に論文として印刷物になっている。これらはまだ試論となるものなので、あらためて加筆・修正が必要となるが、方向性は固まってきている。シェイクスピア作品と当時の貧困を扱った論文を加えたいと思うが、これは以前に執筆した『リチャード二世』論を、更に研究し発展させることができると思われる。 現在、『尺には尺を』の研究資料収集と論文執筆作業中である。論文執筆を予定していた『トロイラスとクレシダ』については、資料収集の関係で、『尺には尺を』の論文執筆の後、取り掛かることを考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度中に、現在執筆中の『尺には尺を』論を完成させたい。その後、資料収集の進捗状況を見て、『トロイラスとクレシダ』論の執筆にかかる予定である。次年度はプロジェクトの最終年度でもあるので、『アテネのタイモン』の資料収集と研究を進めるとともに、本プロジェクトの期間に発表した論文の加筆・修正を進め、プロジェクト全体の総括をしたいと思う。
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Causes of Carryover |
前年度までで、まだ思うように資料収集ができていないことや、必要な機器の購入が充分できていないことから、次年度の使用額が生じている。
論文作成のための資料収集費用、および資料収集のための研究旅費が必要である。また論文作成および書物執筆のための機器の購入も必要であると考えている。
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Research Products
(4 results)