2018 Fiscal Year Annual Research Report
母性とkitchenからみる戦後英国演劇1945-1970
Project/Area Number |
16K02472
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
川島 健 同志社大学, 文学部, 教授 (60409729)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 英国演劇 / 戦後 / 母性 / フェミニズム / 男性性 / 社会主義リアリズム / ニューレフト / 家庭 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は第二次世界大戦直後から1970年頃までの英国演劇を「母性」とkitchenという観点から考察することを目的とした。これまで戦後英国演劇はJohn OsborneのLook Back in Angerが初演された1956年を分岐点とし、Angry Young Menという視座で考えられてきた。しかしAngry Young Menが焦点を当てる「若き男性の父親世代に対する怒り」は、社会制度批判に結びつけられなかった。男性中心主義的な「父子関係」の代わりに、本研究は保護し/保護される「母子関係」に着目し、それを醸成する場としてkitchenに注目する。そこで育まれる様々な「母性」が戦後英国の福祉国家政策を反映し、階級とジェンダーが入り混じる英国特有の家族問題を照らしだしていることを論証することを目指した。 2018年度はJohn Osborneの劇作の受容と社会へのインパクトを演出した批評家Kenneth Tynanの劇評の特徴を研究した。1950年代に基礎を固めた児童心理学の影響力もあり、福祉国家の理念として母子関係を中心とする家庭生活が規範化される。保護し/保護される関係こそが家庭と社会の根幹に据えられたのだ。Osborneらの劇作はこのような保護し/保護される関係への抵抗であることを明確にした。 これらの劇作は家庭を舞台にした。しかし研究を続けていくうちに、70年代初頭から、より大きな枠組みを持った歴史国家劇が多く制作され、家庭劇のフォーマットを更新していることに気づいた。この変化がもたらされた原因を明らかにすることへと研究の関心が広がった。そこで当初計画していた研究のスコープを拡張することになり、最終年度前年度応募に申請した。その結果、本研究は2019年度より「State-of-the-Nation Playsと1970年代英国演劇」に接続される。
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Research Products
(4 results)