2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of the Principles of Creation in Mark Twain's Fiction
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16K02479
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
竹内 康浩 北海道大学, 文学研究科, 教授 (40251376)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | マーク・トウェイン / アメリカ文学 / トラウマ / 推理小説 / 探偵小説 |
Outline of Annual Research Achievements |
アメリカ人作家マーク・トウェインの創作原理の解明を目指した本研究は、「コネチカットにおける犯罪のカーニバル」などの初期短編群から『トム・ソーヤーの冒険』『ハックルベリーフィンの冒険』『うすのろウィルソンの途方もない双子』などの主要作品群、さらには『ダブルバレル探偵物語』や未完の『それはどちらだったか』などの後期作品群に至るまでを、主に殺人事件の犯人と探偵との対決という探偵小説的な視点から読み解き、かつ、それらの創作過程の調査を通して、その創作活動の中心に、作家自身の父親の死に対する罪の意識があり、加えて、父の死体にまつわる謎に魅了されると同時に犯すべからざる禁忌を感じるという両面価値的な心情が、作家のペンをあるときは突き動かし、あるときは押しとどめていたことを明らかにした。 本研究の成果は、厳格なピアレビューを経て、2018年6月、米国の出版社RoutledgeからMark X: Who Killed Huck Finn's Father?として出版され、さらに同書は2019年1月、米国探偵作家協会が主催する文学賞であるエドガー賞の評論・評伝部門にノミネートされ、高い評価を得ている。 さらに本研究は、マーク・トウェイン自身が高く評価していた探偵小説の祖であるエドガー・アラン・ポーに対しても、新たな視点をもたらすものであることが明らかになり、さらに発展的なポーの探偵小説研究の端緒となる可能性がもたらされた。これは、幸運とも言える研究成果であり、今後の研究の萌芽となるであろう。
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Research Products
(1 results)