2019 Fiscal Year Research-status Report
米国舞台芸術の理論と実践におけるサブジャンルの成立と発展―人形・仮面・演じる物体
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16K02483
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
戸谷 陽子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (30261093)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 人形 / 仮面 / マペット / ジム・ヘンソン財団 / オニールセンター |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度として、研究の総括を目指す予定であったが、いくつかの事情が重なり、2020年3月に1年間の研究計画延長を申請した。 本年度はJim Henson Foundation(ニューヨーク市)、University of Connecticut人形劇学科等関係者に電話インタヴューを行い、ニューヨーク市立大学ハンターカレッジのClaudia Orenstein教授を訪問し日本伝統演劇(能、文楽)とのかかわりに関する多くの情報を得ることができた。 また、ニューヨーク市立大学グラデュエイトセンターのピーター・エッカソール教授、ボニー・マランカSSR名誉教授、キャロル・マーティンニューヨーク大学教授らと意見交換をし情報を得ることができた。さらに、ニューヨークを中心とした人形劇芸術実践家のコミュニティに関する調査を行い、ネットワークを広げたが、実際の訪問調査には至らなかった。 しかしながらこうした調査および情報収集の過程で、総数は多くはないが、合衆国では学部・大学院の水準で人形劇芸術のカリキュラムが存在し、舞台芸術分野に加え人形劇の学術的な体系が教授され、その上に人形製作や舞台芸術としての人形劇制作の実践が訓練されているというひとつの大きな特徴があり、これが総体としての人形劇実践家の人材・人口の背景にあることを確認した。 また、地方都市には人形劇文化の核となるような団体とそれらを繋ぐ全国的なネットワークが存在し、人形劇実践家やアーティストを養成する仕組みが機能していることも確認した。テレビ番組セサミストリートの存在とその影響はいうまでもなく強大であり、その創始者ジム・ヘンソンが設立した組織Jim Henson Foundationが全国組織のNational Playwrights Conference(コネティカット州)、Center for Puppetry Arts Puppeteers of America(ジョージア州)等が地域の拠点としてリーダーシップを取り、これをけん引している事実も確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2018年度に研究代表者の疾病により海外調査が実行できず、インタヴュー等の1次資料の収集が遅れたため、また、2019年度に研究代表者の扶養家族の介護にかかわる研究中断が生じ、研究計画の執行に遅延が生じたため、また、2020年3月に渡米訪問調査を実行したが、新型コロナ禍による影響で、訪問調査の部分が計画通りに運ばなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
平成31年度(2019)に残した研究計画を進め、また最終年度の計画を併せて行う。主な対象は合衆国の現代であるが、それのみに特定せず、広義の人形芸術の現代の境界往来に研究の関心を向け、大胆に他者の伝統技術を採用して新たな展開を生む合衆国のアーティストが、世界の他のどのような人形劇からインスピレーションを得ているかを調査する。 研究の最終年度を意識して、学術的な諸言説・理論を導入し、総括的な問題の把握・指標の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
研究代表者の疾病により、海外調査が実行できず、インタヴュー等の1次資料の収集が遅れたため、また、研究代表者の扶養家族の介護にかかわる研究中断が生じ、研究計画の執行に遅延が生じたため
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