2020 Fiscal Year Research-status Report
米国舞台芸術の理論と実践におけるサブジャンルの成立と発展―人形・仮面・演じる物体
Project/Area Number |
16K02483
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
戸谷 陽子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (30261093)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 人形劇 / 仮面 / ギニョル / UNIMA / Bread and Puppet / Basil Twist / Lee Breuer |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アメリカ合衆国の現代前衛舞台芸術における身体・越境・テクノロジー、文化政策、芸術/教育制度の諸問題について、対象を人形・仮面等の「演じるオブジェ」(John Bell、2006)、すなわち広義の人形劇に特化し、合衆国に独自に展開した前衛舞台芸術形式および実践活動として、その美学的・政治的戦略、ジャンルの成立史と制度化に至る過程を検証し、包括的な考察を行うことで、前衛舞台芸術および現代アメリカ演劇史に出現したひとつのサブジャンルとして再定位を試み、今世紀の展開を標榜するための新たな学術的指標を提示することにある。
当該年度は当初「世界演劇における人形劇とアメリカ演劇」とのテーマ設定で、演劇と広義の人形芸術の境界往来に関し、大胆に他者の伝統技術を採用して新たな展開を生む合衆国のアーティストが、世界の他のどういった人形劇からインスピレーションを得ているかを調査する予定であったが、新型コロナ禍の影響により、現地調査のめどが立たず、国内にて可能な調査を行った。この間、Bread and Puppet設立の経緯等、20世紀後半以降の歴史的な文脈を60年代の対抗文化との関連において検討した。また、新たに日本における人形劇のグローバルな展開にも着目し、活動に関する基礎調査を開始した。米国の他、特に東欧の人形劇と日本の人形劇の協働に着目している。前回の渡米調査で実施できなかったUNIMA米国支部・Center for Puppetry Arts(ともにアトランタ)Puppeteers of America(ミネアポリス)、Jim Henson Foundation(ニューヨーク)、University of Connecticut(コネティカット州)等の訪問調査の準備のための予備調査を継続して行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ感染症の影響により、海外訪問調査の予定が当初の計画通りに実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
基本的に「世界演劇における人形劇とアメリカ演劇」という当初のテーマ設定による研究を続行する。その際、オンラインによる調査の比重を大きくすることが予測される(たとえばオンラインでは今年初頭に死去した演出家リー・ブルーアー(人形劇を登用した作品を多く制作)の回顧イベントや人形劇制作者によるオンライン公演等を注視する)。海外調査が可能になり次第、UNIMA米国支部およびCenter for Puppetry Arts(ともにアトランタ)、Puppeteers of America(ミネアポリス)、Jim Henson Foundation(ニューヨーク)、University of Connecticut(コネティカット州)人形劇学部等の訪問調査を実施する。研究の最終年度を意識して、これまでの基礎研究によって得た学術的な諸言説・理論を導入し、総括的な問題の把握・指標の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナ禍により、海外調査の予定を計画通りに実行することができず、外国旅費に計上した金額を消化することができなかったため。 海外調査の計画実行については未だ不透明ではあるが、海外渡航が可能になれば調査を実施する。その他オンラインによる資料収集のための経費を当初の計画に追加し、アーカイヴ資料の検索・閲覧等をオンラインで充実させる。
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Research Products
(1 results)