2021 Fiscal Year Research-status Report
米国舞台芸術の理論と実践におけるサブジャンルの成立と発展―人形・仮面・演じる物体
Project/Area Number |
16K02483
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
戸谷 陽子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (30261093)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 人形劇 / 仮面 / モダニズム / ブレヒト / パフォーマンス / リー・ブルーアー / サセミ・ストリート / ジム・ヘンソン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、アメリカ合衆国の現代前衛舞台芸術における身体・越境・テクノロジー、文化政策、芸術/教育制度の諸問題について、対象を人形・仮面等の「演じるオブジェ」(John Bell)、すなわち広義の人形劇に特化し、米国に独自に展開した前衛舞台芸術形式および実践活動として、その美学的・政治的戦略、ジャンルの成立史と制度化に至る過程を検証し、包括的な考察を行うことで、前衛舞台芸術および現代アメリカ演劇史に出現したひとつのサブジャンルとして再定位を試み、今世紀の展開を標榜するための新たな学術的指標を提示することにある。
当初計画のうち「オルタナティヴ演劇における身体および人形をめぐる実践」、「人形芸術家の養成とネットワーク化(高等教育の制度化)」の2つのテーマに沿い文献調査を中心に研究を行った。 20世紀半ば以降現在に至るまで、前衛分野で広義の人形劇の展開があり、米国では既に系譜が成立している。系統は主に2つで、Peter Schumann率いるBread and Puppet、そこから派生したGreat Small Works、パレードや大道芸等コミュニティアートの形態を追究するRalph Leeらの活動ははブレヒトに影響された政治性を標榜し、Lee BreuerおよびPing Chong、Theodora Skipitares、Basil Twist等の活動は、20世紀初頭のモダニズムの文脈を踏襲する。 UNIMA米国支部・Center for Puppetry Arts、Puppeteers of America、Jim Henson Foundation等人形劇団体、人形劇に特化した学科を有するUniversity of Connecticutは人形劇実践者のみならず研究者も多く輩出しており、これらが米国の実践者・観客・研究者を輩出する仕組みとして機能する制度となっている
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ感染症の影響により、海外訪問調査の予定が当初の計画通りに実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
海外調査が可能になり次第、UNIMA米国支部およびCenter for Puppetry Arts(ともにアトランタ)、Puppeteers of America(ミネアポリス)、Jim Henson Foundation(ニューヨーク)、University of Connecticut(コネティカット州)人形劇学部等の訪問調査を実施する。研究の最終年度を意識して、これまでの基礎研究によって得た学術的な諸言説・理論を導入し、総括的な問題の把握・指標の確立を目指す。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症拡大により、海外調査の予定を計画通りに実行することができず、外国旅費に計上した金額を消化することができなかったため。 海外調査の計画実行については未だ不透明ではあるが、海外渡航が可能になれば調査を実施する。その他オンラインによる資料収集のための経費を当初の計画に追加し、アーカイヴ資料の検索・閲覧等をオンラインで充実させる。
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Research Products
(1 results)