2018 Fiscal Year Annual Research Report
Beyond Hermeneutics of Suspicion: Everyday Reading Practices in England
Project/Area Number |
16K02484
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
井川 ちとせ 一橋大学, 大学院社会学研究科, 教授 (20401672)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 英文学 / 徴候的読み / 表層的読み / 読書会 / 解釈共同体 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成30年度は、一般読者にとっての読むことの意味を実証的に研究する目的で、8月に渡英し、読書会の参与観察、個人への聞き取り調査のほか、図書館司書や大学の創作コース講師への聞き取り調査、個人経営の書店主と書店が主催する読書会参加者への聞き取りをおこなった。個人の読書実践については計16名の聞き取りをおこなうと同時に、うち複数の協力者とはメールや手紙でのディスカッションを続けた。また年間を通じて、一般読者向けの書評誌やラジオ番組、ウェブサイトの分析も進めた 。7月のSHARP(Socierty for History of Authorship, Reading and Publishing)年次大会(於 Western Sydney University)では、“Who and Where Are the 'Real Readers'? Everyday Reading Practices in English Midlands and Northwest" と題し、一般読書向けの雑誌_New Books Magazine_が想定購読者とする「リアル・リーダー」の実像に迫るため、この雑誌が推薦するフィクション作品と一般読者によるレビューのテクスト分析と聞き取り調査・参与観察とを総合する方法を用いた。 最終年度はとくに、平成30年8月までに計75名に対しておこなった個別インタビューの分析に力を注いだ。本研究で得られた、出版文化における複数の行為体の相互作用についての洞察は、平成31年度より開始する科研費基盤研究(C)「実証研究にもとづく受容論の刷新ー現代英国における文学テクストの生産・流通・受容ー」(19K00389)の着想につながった。
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