2018 Fiscal Year Annual Research Report
The Anti-Elegy's Function: Michael Palmer and Contemporary American Society
Project/Area Number |
16K02487
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Research Institution | Shizuoka University |
Principal Investigator |
山内 功一郎 静岡大学, 人文社会科学部, 教授 (20313918)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 詩 / アメリカ / エレジー |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度となる平成30年度には、研究テーマ「アンチ・エレジーが果たす役割:アメリカの詩人パーマーの作品と現代社会」について口頭発表を行った。発表題目名は次の通りである――「“Who will count, who will claim?”――Michael Palmer の近作におけるアンチ・エレジーの展開」。この口頭発表は、平成30年6月21日に静岡大学人文社会科学部翻訳文化研究会の例会において行われた。発表者は山内功一郎本人である。山内はアンチ・エレジーとパーマーの詩作をめぐる研究テーマについて包括的な発表を行った。そして現代社会におけるエレジーの可能性と不可能性を問うパーマーの作品が、直接的なプロパガンダへは還元されない言語の潜勢力を喚起することを解き明かした。特に静岡大学人文社会科学部の翻訳文化研究会という言語文化の専門分野に精通した研究者の集う場で、上記のような発表と質疑応答を行えたことは、本研究にとって極めて有意義だった。 また関連する業績として、次の書評も上げることができる――「ノックする黒い波―小池昌代著『赤牛と質量』」。掲載誌は思潮社の発行する月刊詩誌『現代詩手帖』 第61巻第12号、発行年月は平成30年12月である。題名から察せられるように、山内は日本の現代詩人小池昌代の詩集『赤牛と質量』をめぐる書評を発表した。詩集に通底する水のイメージを抽出したうえで「本源的な生命力」の到来について指摘したこの書評は、言語の本源的な能力について分析した本研究の応用例となった。こういった形で研究成果の具体的展開を自ら示すことができた点もまた、非常に有意義だったと言える。 なお本年度は、研究図書2冊にそれぞれ論文を1本ずつ発表することができた。雑誌初出時の内容を十分練り直し、本研究の成果を盛り込んで決定版の形で論文を図書に収録できた点もまた、重要な実績に含まれる。
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