2018 Fiscal Year Annual Research Report
A Study on Self-Help Literature in America
Project/Area Number |
16K02488
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
尾崎 俊介 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (30242887)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 自己啓発本 / 精神療法 / デール・カーネギー / ナポレオン・ヒル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はアメリカ及び日本で出版が盛んな「自己啓発本」の誕生から発展経緯、さらにその現代における意義などについて明らかにすることを目的とするものである。 この目的を達成するため、平成28年度から平成30年度にかけて調査・研究を進め、以下のような成果を得た。 まず平成28年度においては、アメリカ及び日本における自己啓発本の出版史を概観する作業を行うと同時に、特に19世紀半ばのアメリカで流行し、後の自己啓発思想に大きな影響を与えることになる「精神療法」の発生・発達経緯を明らかにした。 続く平成29年度は、19世紀のアメリカで活躍した思想家ラルフ・ウォルドー・エマソンに着目し、エマソンの諸言説が文脈から切り離され、時には曲解された形で自己啓発本の中に引用され続けることで、21世紀の今日においてすら重要な自己啓発思想家として一般に認識されていることについての論考を発表した。また前年度に執筆を行なった日米自己啓発思想史についての論考が、インターネット上の百科事典である『Oxford Research Encyclopedia 』に掲載された。 研究期間の最終年度となる平成30年度は、二つの論考を発表した。まず一つ目は、女性向け自己啓発本の発達経緯を論じたもので、一般に男性読者を対象としていると考えられがちな自己啓発本の中で、近年、女性向けの自己啓発本が増えていることを指摘し、その発展経緯と傾向を年代別に論じた。また二つ目の論考はアンドリュー・カーネギー、デール・カーネギー、ナポレオン・ヒルという、19世紀末から20世紀半ばを代表する三人の自己啓発本作家を取り上げ、特に後者二人がアンドリュー・カーネギーを巧みに利用しながら、どのようにそれぞれの自己啓発思想を公けにしていったか、その経緯を明らかにした。
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Research Products
(2 results)