2018 Fiscal Year Research-status Report
アメリカ文学における核と原爆の言説--人種とエスニシティと環境のポリティクス
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16K02499
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
松永 京子 神戸市外国語大学, 外国語学部, 准教授 (50612529)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 原爆文学 / 核文学 / 先住民文学 / アメリカ文学 / カナダ文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
(1)カナダにおける核表象を調査するため、バンクーバー美術館で開催されたPanel Conversation: Atomic Studies and Nuclear Futures に参加し、講演者らとの交流を通じてカナダの核の歴史の調査を行った。本研究成果は、中・四国アメリカ学会年次大会シンポジウムで発表し、その後、本学会誌に掲載している。 (2)日系カナダ文学における原爆・核表象をより深く理解するため、昨年に引き続き、バンクーバーに在住する日系カナダ人被爆者と会合し、インタヴューを行った。また、バンクーバーにおける日系カナダ史を調査するため、リッチモンドの Steveston Village でフィールドワークを行った。本研究成果の一部は、著書『北米先住民作家と〈核文学〉』に含まれている。 (3)カナダ先住民文学に描かれるウラン鉱山の問題ついて調査するために、ブリティッシュ・コロンビア大学のファーストネーション図書館で資料調査・収集を行った。本研究成果の一部は、2019年度8月のエコクリティシズム研究学会シンポジウムで発表する予定である。 (4)セントルイスにおける核廃棄物の問題を扱ったドキュメンタリー映画3本を環境正義とアクティヴィズムの視点から分析し、ミズーリ州セントルイスで開催されたWestern Literature Association学会で発表した。その後、セントルイス在住の映画監督と会合し、インタヴューを行った。 (5)シカゴで開催されたModern Language Association 学会に参加し、1984年の〈核批評〉を見直すためのパネル〈新・核批評〉に登壇し、北米先住民文学と〈核批評〉について発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2018年度は、北米先住民文学だけでなく、カナダにおける核表象の調査を進めることができた。また、ミズーリ州セントルイスの核廃棄物問題を扱ったドキュメンタリー映画の調査・分析という新しいテーマに着手した。さらに、これまでの研究成果を含んだ単著を刊行する運びともなったため、おおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2019年度は、アメリカ南西部における「核の言説」の諸相を調査する。特に、核や原爆に関するミュージアムにおける核表象、アナヤ、バルケズ、サイエンズなどのチカーノ作家による核をめぐるナラティヴ、林京子によるアメリカ南西部をめぐる言説を調査する予定である。
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