2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
16K02502
|
Research Institution | The University of Kitakyushu |
Principal Investigator |
齊藤 園子 北九州市立大学, 外国語学部, 准教授 (70390466)
|
Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
|
Keywords | 英語圏文学 / 文化概念 / 文化的アイデンティティ / expatriate / ヨーロッパ表象 / 移住者植民地 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、在欧歴を持つアメリカ作家の執筆物にあらわれる文化概念を体系的に捉えることを目指すものである。2016年度は、国内外における資料収集に重点をおいて研究を進めた。国外では、大英図書館での初版の調査とともに、イタリアにおいて、イタリアにおけるアメリカ作家の芸術活動に関する調査や資料収集を行った。 研究成果として、共著『ヘンリー・ジェイムズ、“いま” ―没後百年記念論集―』において、幽霊表象を語りと文化的アイデンティティの概念に基づいて分析する論文を発表した。また、2014年7月にスコットランドのアバディーン大学で行われた第6回ヘンリー・ジェイムズ国際学会での研究発表を、幽霊と分身の概念を発展させてまとめた論文、“The Materiality of Ghosts in _The Bench of Desolation_: An Exploration of the Pocket Metaphor”が、査読を経て2017年3月に海外の研究誌に掲載された。なお、10月にはヘンリー・ジェイムズの初期の渡欧経験に関わる作品、_Watch and Ward_の第一章の翻訳を発表している。 口頭発表としては、4月に大英図書館ヘンリー・ジェイムズ国際学会において、ジェイムズ作品に対するシェイクスピアやナサニエル・ホーソーンの影響の可能性を議論する研究を、6月には米国ブランダイス大学において、ジェイムズの初期・中期の在欧アメリカ人登場人物を扱う研究を発表した。さらに10月には、日本英文学会九州支部第69回大会において、書簡を共通項とするシンポジウムを企画・開催した。講師としては、ジェイムズの書簡における在欧経験の記録や、ホーソーン、ハーマン・メルヴィル、マーク・トウェイン等に言及しながら、アメリカ作家の執筆物におけるヨーロッパ表象に焦点をあてる現行の研究を公開した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2016年度は、国内外での資料収集を着実に進めるととともに、論文、翻訳、口頭発表の形で研究報告を行った。国外ではイギリスとイタリアでの調査を遂行し、次年度以降の研究の推進に大きく貢献する成果を得た。2017年度には、日本アメリカ文学会全国大会のワークショップを含め、国内外の学会において複数の口頭発表を計画している。本研究は順調に進展していると判断できる。
|
Strategy for Future Research Activity |
引き続き文献を収集しながら、2016年度に収集した資料や調査結果に基づいて考察を進める。イギリスで収集した資料については、資料を踏まえて、文化的アイデンティティの概念やポストコロニアル理論を援用して作品分析を進める。また、イタリアで収集した資料や調査の結果を踏まえ、2016年度の口頭発表の内容を深めて論文にまとめていくとともに、アメリカの作家が関わったイタリアにおける芸術活動の実態について調査を発展させていく予定である。
|