2019 Fiscal Year Research-status Report
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16K02503
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Research Institution | Kanagawa University |
Principal Investigator |
古屋 耕平 神奈川大学, 外国語学部, 准教授 (70614882)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | アメリカ文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2019度の研究実績は以下の通りである。2019年5月、日本ナサニエル・ホーソーン協会全国大会において、ホーソーンの短編作品「ウェイクフィールド」の難しさについての発表を行った。2019年6月、大韓民国ソウル市韓国外国語大学で開催された国際シンポジウムLiterature, Culture, and Technology: Translation in the 21st Centuryにおいて、マーガレット・フラーによるヨーハン・ペーター・エッカーマン『ゲーテとの対話』のドイツ語原文テクストの英語翻訳に関して、特にフラーの翻訳活動とフェミニズム思想の関係に焦点を当てた発表を行った。2019年6月、ニューヨーク大学にて開催された2019年国際メルヴィル学会において、ハーマン・メルヴィルの『ピエール』における移民への言及に注目し、十九世紀ニューヨークにおける移民問題や労働問題、及び言語の問題に対する作家のアンビバレントな反応について論じる発表を行った。2019年12月にはYoshiaki Furui, Modernizing Solitude: The Networked Individual in Nineteenth-Century American Literatureについての書評を、日本メルヴィル学会機関誌『スカイ・ホーク』に寄稿した。また、2020年2月には、論文「男らしくない西部劇小説『シェーン』――冷戦期アメリカの核/家族」を共著として出版し、十九世紀から続くアメリカにおける男性性の問題について論じた。 2019年度内には、本研究課題に直接関係するトピックで3本の国際学会発表を行い、1本の書評を出版した。また、本研究課題に間接的に関係する共著書を1冊出版した。全体としては、概ね活発に研究成果の発表を行うことかできたと評価できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2019年度に予定していた通り、マーガレット・フラーを中心する同時代の女性知識人の翻訳思想についての英語論文の執筆を行ったが、2019年6月韓国外国語大学における翻訳に関する国際シンポジウム発表の質疑応答などを通じて新たな論点が見つかったため、完成まではまだ作業を要することが分かった。2019年6月の国際メルヴィル学会においては、ハーマン・メルヴィルの作品『ピエール』における移民と外国語や単一言語主義の問題についての発表を行ったが、これについても現在論文の執筆を進めている。発表に関しては海外を中心に活発に行うことができた一方で、年度中に、本研究課題に直接関係する論文の出版を行うことができなかったのは若干のマイナス点であると言える。また、2019年6月の国際メルヴィル学会の際にニューヨーク公立図書館等で多少の調査を行うことはできたが、2020年2月後半からのコロナ禍により、海外の実地調査を行うことが不可能になってしまった点では、リサーチに関しては課題を残したと言える。
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Strategy for Future Research Activity |
2020年度も引き続き、マーガレット・フラーを中心する同時代の女性知識人の翻訳思想についての英語論文の完成を目指しつつ、ハーマン・メルヴィルの作品『ピエール』における移民、外国語、単一言語主義の問題についての論文の執筆を進める。2020年度に開催予定でプロポーザル提出を予定していた国際学会がすべて中止となり発表の機会が失われ、また発表予定であった国内学会のシンポジウムも開催が未定、さらには希望していた資料調査のための合衆国及びイギリスへの渡航も非常に難しいという状況となったため、電子資料を中心に調査を行いつつ論文の執筆を進めるのが今年度の現実的な目標となる。
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Causes of Carryover |
当初予定の使用額を下回った最大の理由としては、コロナ禍により海外渡航が不可能となってしまったため、当初希望していた春休みの資料調査のための合衆国への滞在を行うことが出来なかったことが挙げられる。2020年度に関しても、資料収集のための調査旅行はかなり難しい状況にあることは事実である。また、進捗状況においても述べた通り、今年度発表を希望していた国際学会も今の所すべてキャンセルとなり、次回開催の目処もまだ立っていない。いずれにせよ、単年度ではなく複数年度の研究計画であるので、全体として最も効率的に研究が遂行できるよう、柔軟にスケジュールを組み直す。資料やその他の消耗備品等の購入については、概ね予定通り行った。今年度も、必要な図書や資料、消耗品等を随時購入する予定である。
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Research Products
(5 results)