2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Philosophy of May Massee, an Editor who Brought about the Golden Age of American Picture Books
Project/Area Number |
16K02512
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Research Institution | Keiwa College |
Principal Investigator |
金山 愛子 敬和学園大学, 人文学部, 教授 (90257436)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | メイ・マッシー / 絵本 / 編集 / 出版 / 民主主義 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、アメリカ絵本の黄金時代創出に貢献した編集者メイ・マッシーの生涯を明らかにし、彼女がどのような思想をもって本作りにあたり、編集者とは言え、その思想がどのように出版物に反映されているかを検証するものである。 2016年度からの4年間の研究期間で、2017年度に米国カンザス州のエンポーリア州立大学を訪問し、図書館所蔵の「メイ・マッシー・コレクション」から、書簡や講演原稿、雑誌記事、インタビュー記事等を閲覧、複写できた。それらの資料をもとに、2017-2019年度は、(1)不明な点の多かったマッシーの前半生にについて解明し、(2)マッシーの子どもと本に関する思想を明らかにし、部分的にではあるが、その思想が本作りにおいてどのように具体化されているかを検証することができた。 最終年度である2019年度は、これらの資料と『ホーンブック』誌等により、(1)諸説あったマッシーの生年を特定し、ダブルデイ社やヴァイキング社の編集者になるまでの少女時代から図書館員時代、ALAブックリストの編集者時代について明らかにした。さらに、(2)マッシーの子ども観とそれに応じた本作りに関する思想については、2つの大戦と大恐慌、特にヨーロッパからアメリカへの夥しい数の移民の流入という社会情勢もあってか、「民主主義」の思想がマッシーの根幹にあることを突き止め、彼女の出版した作品からは、「民主主義」によって可能となる「自分自身であること」の価値と「自分自身であること」への励ましが読み取れることを作品を例にとって論じた。「自分自身であること」は他者の個性やアイデンティティをも同じように認めることを促すため、時代の課題へのマッシーの応答であったと理解できる。 研究期間を1年延長したが、概ね研究実施計画に沿って研究を進め、当初の研究目的を果たすことができた。
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