2019 Fiscal Year Annual Research Report
The Synergetic Influence of Edith Wharton's Writing and Domestic Architecture: Architectural Imagination and Literary Imagination
Project/Area Number |
16K02516
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
石塚 則子 同志社大学, 文学部, 教授 (80257790)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ドメスティシティ / イーディス・ウォートン / キャサリン・ビーチャー / 『ドメスティック・エコノミー論』 / ジェンダー・スペース / 男女の領域分離主義 / 室内装飾 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度助成を受けた主な研究活動は、7月にイタリア、トリエステ大学で開催された国際ヘンリー・ジェイムズ国際学会に参加しヴェニスで資料収集をしたことと、8月末に米国コネティカット州ハートフォード市周辺での資料収集である。ハートフォードでは、ストウセンターのCollections Managerと連絡を取り、収蔵資料(ストウやビーチャー関係の手紙や写真や文献)の閲覧と、ストウの家の案内を申請し、効率的に専門的な支援や助言を受けることができた。またウォートンの姪であり、景観デザイナーのパイオニアとしてウォートンの庭づくりに参画したビアトリックス・ファランド設計の庭園がイェール大学にあり、見学して資料を収集した。 本研究の軸となるウォートンと建築の連携を考察していく中で、ジェンダー化した室内空間とドメスティシティの関係性に研究分野を広げた。今年度はアンテベラム期に家事のマニュアル本として出版された、キャサリン・ビーチャーの『ドメスティック・エコノミー論』(1841年)を取り上げ、男女領域主義を強化する一方、女性の自立に向けてのエンパワーメントを推進したビーチャーの論考を考察した。ウォートンの最初の著作『家の装飾』における屋内建築や(上流階級向けの)住宅建築に関する論考との比較、あるいはドメスティシティ言説との関係性から、本研究の推進に必要であると判断し、論文「活字メディアとしての『ドメスティック・エコノミー論』にまとめ、アメリカ学会発行の『アメリカ研究』第54号に慫慂論文として掲載された。さらに2020年6月に米国ニューヨーク市で開催予定の国際イーディス・ウォートン学会で、ウォートン作品における建築や室内装飾と登場人物の関係性を発表するため要旨を応募し、査読後採択されたが、コロナ禍のため学会の開催が中止となった。
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