2020 Fiscal Year Annual Research Report
Slave Revolts and Conspiracies in Early America: Historical Imagination and Literary Representations
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16K02517
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
白川 恵子 同志社大学, 文学部, 教授 (10388035)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2021-03-31
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Keywords | 初期アメリカ / 奴隷叛乱陰謀事件 / ニューヨーク / ストノ / 奴隷叛乱文学表象 / アンテベラム期 / 北米英領植民地 / 1741年 |
Outline of Annual Research Achievements |
本件研究は、初期アメリカにおける奴隷制状況、複数の奴隷反乱事件につき、歴史的、文化的、文学的に、考察するものである。一般に、アメリカにおける奴隷制といえば、アンテベラム期の南部奴隷制下の、社会的、政治的、文学的考察が多いが、本件は、あえて注目度の低い、しかしながら、アメリカ奴隷制の起源においては重要である、建国以前の植民地時代における奴隷反乱事件につき、広範な研究を行うものである。 2020年度は、研究最終年にあたり、1712年ニューヨーク奴隷叛乱事件、1741年ニューヨーク奴隷放火陰謀事件、1739年ストノ奴隷反乱事件に関する①各々の事件の概要・背景・影響、②3件の事件の相関関係、③18世紀半ばのカリブ海地域欧列強国植民地の奴隷社会との関連、④17世紀末~18世紀半ばの南部北部植民地間の地政学的関連(総督間の連携)、⑤上記事件の文学作品分析、⑥今日的影響についての考察を行い、口頭発表において総括的に示した。特に、口頭発表において、ニューヨークの両事件に関連して、こんにちマンハッタン南部の連邦オフィスタワービル内に併設されたアフリカ人埋葬地ナショナル・モニュメントおよび博物館についての紹介をおこなえた点は、本年度の成果の一つであると言えるだろう。無論、昨今のBLMによるこんにち的な視座の導入により、奴隷叛乱研究を19世紀以前に敷衍させていく契機はさらに増すであろう。 事件概要そのものの提示も、我が国における研究としては極めて珍しいが、さらにその文学的影響について、複数の作品群を見出し、比較対照しながら分析できた点は、本件研究の特異性・独創性を示すと考える。
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