2016 Fiscal Year Research-status Report
アメリカ文学における科学技術とヒューマン・アイデンティティの変容
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16K02520
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
新田 よしみ 福岡大学, 国際センター, 講師 (80465723)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
肥川 絹代 近畿大学, 工学部, 教授 (20740674)
下條 恵子 九州大学, 言語文化研究院, 准教授 (30510713)
C.SCOTT PUGH 西南学院大学, 文学部, 教授 (60244795)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 19世紀アメリカ社会 / 鉄道 / 機械化 / 芸術 / 階級 |
Outline of Annual Research Achievements |
17世紀から19世紀アメリカにおけるテクノロジーの発展とそれらが社会に及ぼした影響、社会基盤の変容や生活における変化などに関する書籍を通読し知識を深めた。具体的には、月に一度研究会を実施して、Ruth Schwarts CowanのA Social History of American Technology(1997)とCarroll PursellのA Companion to American Technology(2008)から本研究に関係がありそうなチャプターを取り上げ、それらの内容を議論し、産業革命前後でアメリカ社会に起きた変化を再確認していった。特に、鉄道の発達に伴い社会風景にみられた変化や機械化による労働環境や家族関係の変容、テクノロジーが芸術作品の在り方に及ぼした影響などを中心に、絵画や映像作品、図版なども多用しながら研究を進めた。 これにより、各研究者の研究作品及び研究対象時代と照らし合わせて、広範囲にわたる「テクノロジー」の用語を再定義しなおすことができた。さらに、21世紀SF小説での「テクノロジー」の描かれ方をWilliam Gibson、Pattern Recognition(2003)を分析することによって各研究者間で共通した認識を抱くことができたと考えている。 本研究ではテクノロジーの発展によってアメリカ文学において「人」の描かれた方に変化があるのか、その変遷の歴史も踏まえて明らかにすることを目的としている。研究初年度の段階では、テクノロジーとそれらを取り巻く社会を俯瞰しテクノロジーと社会状況の関係性を、主に17~19世紀を中心として捉えなおしすることができた。初年度の目標であった用語の再定義と歴史的背景から見たテクノロジー概観はおおむね達成できたと思われる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
各研究者の都合もあり開催が難しい時期もあったが、最低でも月に一度は集まり研究を進めることができたからである。 19世紀を中心として書かれたテクノロジーに関する研究書を通読し、知識の再確認ができた点、および各研究者が研究計画書で挙げていた作品の分析も個人で進めることができている点を評価したい。 しかしながら、学会での口頭発表や紀要論文の発表ができていなかったことは要改善点であるため29年度に努力したいと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は学会での口頭発表、もしくは大学紀要への論文投稿を目標に研究を進めていく。月に一度実施している研究会では、テクノロジーと歴史、社会状況の変化などを分析している研究書を2冊から3冊通読することを目指す。さらに研究会中に各研究者が研究する作品に関する口頭での報告を実施する機会も設けたいと考えている。 最終年度に向けて研究環境を整えていき、必要と考えられる電子機器類や書籍、映像資料などの購入を行い整理していく。研究に有用な資料は研究者間で共有し、お互いの研究を深化させていく。 国内だけではなく可能であれば国外での学会へも参加し、アメリカ文学とヒューマン・アイデンティティーに対する様々な視点を学びたいと考えている。
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Causes of Carryover |
研究代表者が体調不良により平成28年度後期中に休職したため、予定していた海外への学会出張と資料収集が行えなかったことが次年度使用額が生じた主な要因である。また、購入予定であった電子機器類が国内代理店で取り扱いされておらず、海外から取り寄せた場合購入に時間がかかるという理由から、予定していた物品の購入が実施できなかったことも要因の一つとして挙げられる。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究代表者は海外で開催される学会参加もしくは資料収集を実施する。初年度購入予定であった電子機器類やそれらの代替品を扱っている業者を探して購入を進めていく。加えて、消耗品の購入にも取り掛かり、研究を円滑に進めるための環境を整備していく。図書などの購入は各研究者に依頼し、有用なものは情報を共有して全員が購入して行くようにしたい。 加えて平成29年度は紀要への論文投稿も計画している。査読付きの学会誌があればそちらにも論文投稿を行いたい。本年度予算に計上している投稿費用や英文校正料も利用して、科研費を使用した研究にふさわしい論文を準備する計画である。
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Research Products
(3 results)