2019 Fiscal Year Annual Research Report
The study of ownership for space, real estate, and grave site in Nathaniel Hawthorne's late works
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16K02522
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Research Institution | Nagano National College of Technology |
Principal Investigator |
小宮山 真美子 長野工業高等専門学校, 一般科, 准教授 (30439509)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ナサニエル・ホーソーン / 19世紀アメリカ文学 / 慰撫と弔意儀礼 / 埋葬と衛生問題 / Claimant Narrative / カルトグラフィー |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、「ホーソーン作品における土地空間の権利と相続の問題が、祖先の埋葬といかに絡み合 っているかという課題を他の作品の分析をまじえておこなう」という研究目標にもとづき、次の研究を行った。 1.『アメリカの相続者原稿』の作品で、「エサレッジ」を中心とした作品分析を行い、英国と米国の土地空間の相続がいかに19世紀アメリカ人の無意識の中で欲望されていたかについての研究を進めた。その報告をPAMLA(Pacific Ancient and Modern Language Association)にて“'Unspeakable yearning' towards England: An imagined inheritance in 'The American Claimant'narratives”と題して口頭発表を行った。 2.本研究の総括として論文を執筆した。英国旅行記でもあるOur Old Home(1863)を参照しつつ 『アメリカの相続者原稿』を中心として、登場人文がどのように英米間の移動をしながら土地の相続と埋葬が作品の中に描かれているのかを分析した。その上で、南北戦争に直面した晩年のホーソーンが国家に抱いた意識を探った。その結果、ともに断片的遺作となった『アメリカの相続者原稿』と『不老不死の霊薬原稿』において、前者で果たされなかった「相続」が後者において成立していたことが判明した。ホーソーンは晩年の作品間に共通した空間を書き込み、作品内でイギリス祖先の土地空間を、アメリカの子孫に相続させるという行為に結び付けた。ホーソーンは内部分裂しつつあるアメリカの土地空間の外に、新たな欲望を描く地図を描き出したという結論に至った。本論文は令和2年度提出予定の博士論文の1章となる予定である。
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Research Products
(1 results)