2016 Fiscal Year Research-status Report
ヴィシー政権以降のフランス南部における文芸誌ネットワークについての実証的研究
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16K02531
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
重見 晋也 名古屋大学, 文学研究科, 准教授 (40303573)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ドイツ占領下フランス / ヴィシー政権 / 文芸誌ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ヴィシー政権成立以降にフランス南部地域で発行された四つの文芸誌を選び、それら文芸誌の書評欄や文芸欄の調査をおこなうことで、1)各文芸誌の特徴を分析すること、2)ヴィシー政権期およびドイツ占領下のフランス南部における文芸誌ネットワークを実証的に描き出すことを目的としている。 平成28年度の研究計画では、1)フランスで資料調査をおこなうこと、2)データベース・システムを構築しwebで公開すること、3)学会発表や論文で研究成果を公開すること、4)『年度報告書』を作成することの四点を計画していた。 あらかじめ提出していた研究実施計画にしたがって、平成29年2月26日から3月5日までの8日間の日程でフランス国立図書館にて資料収集および資料調査をおこなった。それらの調査で収集したデータは、データベース・システムに入力し、本研究で収集した資料を分析した結果を閲覧したり検索できるwebサイト(http://rfsoa.lit.nagoya-u.ac.jp/)を構築し、既にデータの一部を一般に公開している。また、平成28年12月3日に名古屋外国語大学開催されたパネル・ディスカッション(主催:日本フランス語フランス文学会中部支部会、共催:名古屋外国語大学ワールドリベラルアーツセンター)で、研究代表者は本研究の成果の一部を口頭にて発表した。さらに、平成28年にフランスClassique Garnierにて創刊された学術誌『Etudes Digitales』誌に発表した論文でも部分的に本研究の成果を用いている(SHIGEMI Shinya, “Quelles sont les conditions de l’organisation des savoirs humains?”, Etudes digitales, Classiques Garnier, 2016, pp. 69-86.)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成28年度は研究実施計画にしたがい、平成29年2月26日から3月5日までの8日間の日程で、フランス国立図書館のアーセナル館およびフランソワ・ミッテラン館にて資料収集および資料調査をおこなった。調査の対象とした資料は、『コンフリュアンス』誌、『ポエジー』誌とその前身である『ポエット・カスケ』誌、そして『ラルバレート』誌の三誌である。これらの資料について必要な部分をコピーなどにより収集した。また、収集した目次データを研究補助として雇用した大学院生の助けを借りて、外注して準備したデータベース・システムに入力しweb経由で閲覧できるよう研究体制を整えた。 また、研究の成果について日本フランス語フランス文学会中部支部会の討論会で部分的に口頭発表した。また、本研究の成果を部分的に用いて、2017年にClassique Garnierにて創刊された学術誌『Etudes Digitales』誌に論文を発表した(SHIGEMI Shinya, “Quelles sont les conditions de l’organisation des savoirs humains?”, Etudes digitales, Classiques Garnier, 2016, pp. 69-86.)。さらに、『科学研究費補助金中間報告書(平成28年度第1号)』を印刷・発行・配布した。そのなかで、8日間の調査旅行の成果を、資料とあわせて詳細に報告している。これらにより、webで公開する目次データベースに収めることができない、各文芸誌の物理的な特徴などを記述している。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度の調査は外形的な点を主として対象としたが、平成29年度は前年度の現地調査にて収集してきた資料の分析をおこなう。特に、各文芸誌が他誌について言及している箇所について、作者、題名、文芸誌名、号数、発行場所、発行年などの書誌情報を抽出し、平成28年度に構築したデータベース・システムに随時入力していくことを予定している。このような分析により、ヴィシー政権以降のドイツ占領下にあって、フランスの南部地域において流通していた文芸誌が形成していたネットワークの広がりの輪郭を描き出すことができると考えている。 また、平成29年度においてもフランスの図書館などで現地調査を実施する計画である。対象となるのは『カイエ・デュ・シュド』誌で、調査旅行により必要な資料を収集し、各文芸誌間の関係についてより詳細な分析を推し進める計画となっている。 さらに、平成29年度中にフランスおよび日本国内より研究者を招聘して、国際研究集会を実施するための準備をおこなっているところである。また、年度中の口頭発表や論文での研究成果の発表も予定している。
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Causes of Carryover |
研究補助として雇用する予定の大学院生のうちの1名が、体調不良により研究を補助することができなくなったため、その分が「次年度使用額」として残った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度に担当してもらう予定だった補助業務(データ入力)を平成29年度に実施するため、「次年度使用額」を平成29年度の「人件費・謝金」と合算して執行する計画である。
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Research Products
(2 results)