2017 Fiscal Year Research-status Report
ヴィシー政権以降のフランス南部における文芸誌ネットワークについての実証的研究
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16K02531
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
重見 晋也 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (40303573)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ドイツ占領下フランス文化 / 文芸誌ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
平成29年度は研究計画の2年目にあたり、初年度に引き続き現地での資料調査および資料収集を行った。過年度までにフランス国立図書館(以下、BnF)において資料調査の対象とした文芸誌を調査していたが、『ラルバレート』誌についてはBnFのアーセナル館で保存資料に欠号があったため全てを調査できていなかった。そこで平成29年度は、平成29年11月21日より12月2日までの12日間の日程で、リヨン市立図書館にて調査を実施した。同図書館が収蔵する『ラルバレート』誌は大変保存状態が良く、同誌発行当時に挿入されていた購読申込書や同誌が翻訳して出版したジャン・ジュネやフランツ・カフカの作品の宣伝チラシも閲覧することができる点で特筆に値することがわかった。本調査旅行中の11月25日から28日までの期間はポルト大学(ポルトガル)にて11月27日に開催された国際研究集会 にて研究発表をおこなった。 また、平成30年3月5日より11日までの7日間、エクス=マルセイユ大学(フランス)よりSylvie REQUEMORA-GROS教授を招聘し、本研究計画等について議論するとともに、3月8日には講演会を開催し、そのなかで同教授に講演をしていただいた。同教授は17世紀フランス文学を専門としているが、講演に続く質疑応答のなかで、17世紀の文学活動において非常に大きな役割を担っていたサロンが、ある種のネットワークを形成していたことを指摘した。これは、本研究計画が主たる対象としている文学作品を共有するネットワークの存在を、通時的な視点から補強するものであり、本研究を今後より大きなパースペクティヴのもとで展開する際に、非常に意義のあるものだと評価することができる。 これらの成果の概要については、年次報告書を発行すると同時に本研究計画のwebサイトでも公開し、成果の発信に努めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成29年度は研究実施計画にしたがい、平成29年11月21日から12月2日までの12日間の日程で、リヨン市立図書館にて資料調査を実施した。それと合わせて、平成29年11月27日にポルト大学(ポルトガル)で開催された国際研究集会にて研究発表を行った。また、過年度におこなった口頭発表を「リスボン地震に見る文学の想像力―天災と人災を超えて―」の題名で『名古屋大学人文学研究論集』(第1号)に発表した。さらに、本年度の調査結果は、初年度に開設したwebサイト(http://rfsoa.lit.nagoya-u.ac.jp)に研究補助者の助力を得てデータ入力をおこない公開している。同webサイトでは、過年度に発行した分とあわせて年度報告書を公開してもいる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成30年度は本研究計画の最終年にあたるが、9月に最後の資料調査をおこなうとともに、エクス・マルセイユ大学からの依頼に応じる形で、同大学にて開催される研究集会で口頭発表を行う予定である。また、国内でも本研究計画に関わるテーマで日本人研究者をあつめて研究集会を実施することを計画している。この最後の資料調査によって、本研究計画で調査委対象としていた文芸誌の全てについて、原本で確認する予定である。また、過年度までに収集した資料のうち、まだwebサイトに反映されていないものについては、研究補助者の助力を得て入力を完成させる予定である。そして、これまでの研究成果をまとめた報告書を作成する計画である。
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Causes of Carryover |
前年度未使用額を含めてほぼ年度当初の計画通りに予算を使用したが、人件費の支出を年度末に行ったことで若干の誤差が生じた次第である。次年度使用額については、人件費の使用を年度途中に行うことで、誤差が生じないようにするとともに、人件費の算出基礎となる作業時間を厳密に管理する計画である。
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Research Products
(4 results)