2018 Fiscal Year Annual Research Report
Music and travel in the writings of G. Sand and Madame de Stael : How did they approach the French revolution?
Project/Area Number |
16K02534
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
坂本 千代 神戸大学, 国際文化学研究科, 教授 (80170611)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | スタール夫人 / ジョルジュ・サンド |
Outline of Annual Research Achievements |
スタール夫人とジョルジュ・サンドの作品で、フランス革命が関連するものを詳しく検討することによって、音楽、旅、革命がそれぞれどのように結び付けられているかを歴史的なパースペクティブおよびジェンダー論的な視点から明らかにすること、それと同時にスタール夫人とサンドというフランスロマン主義を代表するふたりの女性作家の研究の進展に寄与することが本研究の目的である。 平成30年度はまずスタール夫人の『追放10年』の研究をおこなった。これはフランス革命の後継者ナポレオンによってフランスから追放された彼女の未完の回想録で、死後に編集されて刊行されたものであり、現在まであまり注目されてこなかった作品である。この著作にはナポレオン体制と旅の関係が、その究極の「負の形態」というべき「追放の旅」という形をとって現れている。そこに見られるスタール夫人のロシア帝国観、ナポレオンのイメージ、ロシア音楽についての言及等について考察し、論文『ナリシキン邸のスタール夫人』として発表した。 次にサンドの書簡集、回想録『わが生涯の記』、エッセー集『旅人の手紙』を再検討し、彼女のフランス革命観や音楽観とともに、作家としての「著名性」と彼女の私生活との関連について考察をおこなった。また、サンドの作品の日本語訳と時代による変遷を考察し、彼女の作品のどういう特徴、どういうトピックが明治以来の日本人に注目されてきたか、その中でもとりわけ特徴的な『魔の沼』と『愛の妖精』の翻訳史を分析し、その結果についてフランスの大学で講義をおこなった。
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