2017 Fiscal Year Research-status Report
クローデルの日本論に見られる東洋思想の影響と新トマス主義との関連についての研究
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16K02543
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
大出 敦 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (90365461)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | ポール・クローデル / 比較文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2017年度は2016年度の研究活動を踏まえ、引き続き関連文献の収集を行い、クローデルの日本論の一つ「詩人と香炉」の翻訳を行った。翻訳に伴う分析から日本の国学思想との接点、さらには音義派と呼ばれる江戸期から大正期にかけて見られた独自の言語観と間接的に関係していることを見出した。 以上のことを踏まえ、2017年度は次の二つについて、考察を重ねた。一つは、国学思想に見られる魂観を中世スコラ哲学、とりわけトマス・アクィナスの形而上学から読み替えたとして、クローデルが日本の封建時代を舞台に書いた幽霊譚「女と影」を分析し、「天使と幽霊―クローデル『女と影』を巡って―」を発表した。またもう一つは、音義派の言語観に共通する特徴的な言霊論との関係の観点からクローデルの言語観を明らかにすることである。これに関しては現在、論考を準備している。 また成果の社会への発信の準備として、2018年に開催される企画への協力を行った。2018年はクローデル生誕150年に当たり、神奈川県立神奈川近代文学館で「生誕150年記念 詩人大使ポール・クローデルと日本展」(2018年5月19日から7月16日)が、日仏会館では国際シンポジウム「ポール・クローデルの日本」(2018年11月3日・4日)が開催される。研究代表者は神奈川近代文学館の展覧会へ資料の提供、展示へアドバイスを行い、カタログの解説を執筆している。また日仏会館の国際シンポジウムに関しては登壇者の人選へのアドバイスをしたとともに自身も登壇することを決定した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2017度は主として、資料の収集とクローデルの国学思想のスコラ哲学での読み替え作業を中心に行ってきた。このことによって研究自体は深まりをみせたと自認しているが、一方で、対話篇の翻訳が遅れている。そのため2018年度は、資料の収集、翻訳作業、論文制作、社会発信のための準備を軸に研究活動を行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2018年度は、クローデル生誕150年にあたり、一年間にわたってさまざまな企画が計画されている。このうち神奈川近代文学館での文学展「生誕150年記念 詩人大使ポール・クローデルと日本展」(2018年5月19日から7月16日)、日仏会館での国際シンポジウム「ポール・クローデルの日本」(2018年11月3日・4日)には主体的に関わっており、これを通して、2年間の研究の成果を社会に発信する予定である。 一方、これと並行して、これまでの分析を踏まえ、予定していた対話篇の翻訳・分析と資料の収集を進める予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 2017年に購入を考えていた文献が見つからず、購入できなかったため、次年度に繰り越した。 (使用計画) 2017年度に予定していたものの、入手できなかった文献の購入のため、2018年度の図書の購入費用に組み込んで使用する予定である。
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Research Products
(2 results)