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2018 Fiscal Year Research-status Report

クローデルの日本論に見られる東洋思想の影響と新トマス主義との関連についての研究

Research Project

Project/Area Number 16K02543
Research InstitutionKeio University

Principal Investigator

大出 敦  慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (90365461)

Project Period (FY) 2016-04-01 – 2020-03-31
Keywordsポール・クローデル / 日仏交流 / スコラ哲学 / 日本思想
Outline of Annual Research Achievements

2018年は、ポール・クローデルの生誕150年の年にあたり、これを機に研究の推進とともに、これまでの成果を社会に発信した。研究としては、クローデルが本居宣長や平田篤胤の日本の国学思想をどのように受容し、それをスコラ哲学にどのように接ぎ木をしていったかを考察し、2018年11月3日に日仏会館で行われた「ポール・クローデル生誕150年記念シンポジウム ポール・クローデルの日本」で、「ものの『ああ性』を求めて――クローデルと日本文化」と題して発表した。この発表は、同シンポジウムの論文集に収録され、2019年度中に刊行される予定である。これは本研究のテーマであるクローデルによる日本思想のスコラ哲学的読み換えに関わるものである。
社会発信としては、2018年5月19日から7月16日まで、県立神奈川近代文学館で開催された「生誕150年記念詩人大使ポール・クローデルと日本展」に資料を提供し、展示構成に協力した。また同展のカタログ『詩人大使ポール・クローデルと日本』の編集責任者として、編集作業に関わり、「自然と隠喩――クローデルの日本理解」「ヤヌスの双頭――クローデルと日本の詩」「さらば、日本」といった論考、「クローデルの歩いた道 名古屋」「クローデルの歩いた道 鹿児島」といった随筆等を掲載した。
同展の開催により、滞日時にクローデルと交流のあった日本人の遺族が所蔵している遺品が多数、発見され、それらを整理・分析する必要が生じた。またクローデルに関係した人物の遺族に聞き取り調査を行い、記録に残す必要も生じてきている。
この他に滞日時のクローデルと親交のあった山内義雄に関する対談「詩人大使の創作を支えた山内義雄」に司会として関わり、フランスのクローデル研究家であったユベルスフェルドの『ポール・クローデル20世紀の詩人』の翻訳も2019年度中に刊行予定である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究は、クローデルにおける日本思想とスコラ哲学の関連を探る研究とクローデルの対話篇と言われる日本を題材にした三つの作品の翻訳・註解から成る。日本思想とスコラ哲学の関連に関する研究は順調に進んでおり、問題はない。しかし翻訳・註解の作業は、クローデルの文章が難解であるのと、引用されている老子・荘子・仏典などの東洋哲学の原典を特定するのに時間がかかり、予定していたよりやや遅れている。

Strategy for Future Research Activity

2019年度は、最終年であるので、これまでの研究を総括することになる。研究の柱の一つは、クローデルの日本思想の理解とスコラ哲学との関係を考察することであった。この点に関しては、一つは、前年の日仏会館で開催されたシンポジウムの内容をまとめた論文集を刊行することが挙げられる。もう一つは、この論文集とは別に、これまでの考えをまとめ、クローデルが日本の国学に関心を示し、それを受容し、キリスト教神学と結びついたスコラ哲学にいかに接ぎ木し、自己の文学に反映させていったかを単著として刊行する予定である。
研究のもうひとつの柱であった日本時代の対話篇三篇の翻訳・註解の作業がやや遅れ気味のため、集中して作業を進める必要がある。
この他に2018度に日本で発見されたクローデル関係の新資料、未公開資料を整理する作業と、遺族への聞き取り調査の実施を上記の作業と並行して行う予定である。

Causes of Carryover

県立神奈川近代文学館の文学展、日仏会館の国際シンポジウムにかかる経費・人件費を研究成果の社会発信のための費用として計上していたが、科研費以外の助成等で充足した関係で、当初、予定していた額より少なくすんだため。
研究計画では予定していなかったが、2018年度に新たに発見された資料の調査・分析、クローデルに関係した日本人の遺族への聞き取り調査の経費として、2019年度に繰り越したものを使用する予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2019 2018

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] クローデルからマラルメへ――象徴主義者たちの〈観念〉論争2019

    • Author(s)
      大出 敦
    • Journal Title

      三田文学

      Volume: 98 Pages: 117―125

  • [Presentation] ものの『ああ性』を求めて――クローデルと日本文化2018

    • Author(s)
      大出 敦
    • Organizer
      ポール・クローデル生誕150年記念シンポジウム ポール・クローデルの日本
    • Int'l Joint Research
  • [Book] 詩人大使ポール・クローデルと日本2018

    • Author(s)
      アルバム・クローデル編集委員会(大出敦[編集責任者]、根岸徹郎、中條忍、渡邊守章、ミシェル・ワッセルマン、井戸桂子、中島悠子、村上由美、堀切克洋、学谷亮)
    • Total Pages
      136
    • Publisher
      水声社
    • ISBN
      978-4-8010-0347-7

URL: 

Published: 2019-12-27  

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