2016 Fiscal Year Research-status Report
ラトビア・イディッシュ文学のポリグロティズムの研究――M・ラズームヌイを中心に
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16K02567
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
ヨコタ村上 孝之 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (00200270)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | ユダヤ文学 / イディッシュ / ロシア文学 / ラトビア文学 / ポリグロティズム |
Outline of Annual Research Achievements |
研究計画初年度である平成28年度においては、資料の収集に重点を置いた。4度の外国出張を行い、リーガのユダヤ文化センター・アルヒーフ、ラトビア国立図書館、ペテルブルク市ロシア公立図書館などで資料収集を行い、多数の貴重なテキストを発見した(ラズームヌイのラトビア語のノヴェッラ、出版社ソヴィエツキー・ピサーチェリとの交換書簡など)。関連文学・文学理論書の購入も進め、そうした理論を応用しつつ、収集したテキストの分析を開始し、いくつかの新しい知見をえるに至っている。そうした成果はフィージー、オーストリア、アルバニア、オマーンの国際学会において発表したほか、論文としても外国の学術雑誌・論文集に2点を刊行した。それはアルバニアの学術誌に載せた“English and Cosmopolitanism: Their Significance for the Diasporic Russian-Jewish Literati”とタシケント大学出版会によって刊行された論集に収められた「翻訳と母語イデオロギーの共犯関係について」というものである。これらの論文において、ユダヤ人と歴史的に結び付けられてきたコスモポリタニズムが、やはりユダヤ性の指標とされていたポリグロティズムと相補しあってきたこと、それがラズームヌイやブロツキーなどの作品から検証できること、またそれとは反対に母語イデオロギーがナショナリズムを強化する装置になってきたこと、「翻訳」という概念および行為もまたそれに加担してきたことをロシア系ユダヤ人作家の作品から検証した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究課題一年目で、2度のラトビア、ロシア出張を行い、予定通り、現地の図書館、アルヒーフ、博物館等で必要な資料の閲覧・収集を行い、テキストの蓄積は順調に進みつつある。同時に、関連理論の摂取も予定通り進みつつあり、テキストの分析・検討を進めている。それらの成果はすでにオーストリア、アルバニアでの国際学会で成果発表として報告された。また一点の成果報告の論文も刊行し、順調に研究を進行させつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画通り、2年次も海外の図書館、アルヒーフ、博物館等で資料の閲覧、収集を進める。また、関連理論の摂取、それに基づくテキストの分析、検討も進めていきたい。2年次はイッディッシュ文献の解読、検討に一層の力を傾注していく予定である。
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Research Products
(10 results)