2019 Fiscal Year Annual Research Report
Sociological Film Studies on Literary Adaptation in German-speaking Countries
Project/Area Number |
16K02569
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
山本 佳樹 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 教授 (90240134)
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Project Period (FY) |
2016-04-01 – 2020-03-31
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Keywords | 映画 / 文学作品の映画化 / ドイツ文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和元年は、まず前年度から引き続いて東ドイツ映画に関する研究を進め、論文「東ドイツ映画における建築物のイメージ―『殺人者は我々の中にいる』から『建築家』まで」にまとめた。東ドイツ映画において建築物が国家建設の比喩として提示されてきたことを時代を追って論じた論文であるが、そこでとりあげた作品のひとつ『パウルとパウラの伝説』(ハイナー・カーロウ、1973)は、脚本を作家ウルリヒ・プレンツドルフが担当しており、東ドイツにおける文学と映画の交渉をしめすひとつの例となっている。 また、2016年に発表したドイツ=トルコ映画についての論考を発展させて、論文「ドイツ=トルコ映画における女性像の変遷」を執筆し、塚田幸光(編)『シネマとジェンダー/エスニシティ』(ミネルヴァ書房)に掲載した。論文中で、移民二世の女性作家ハティチェ・アキュンによる小説『ピリ辛ソースのハンスをひとつ』の映画化作品(ブケット・アルアクス、2014)などを扱っている。 さらに、ナチ時代における文学作品の映画化についても、資料収集と分析を継続した。とくにハインリヒ・クライストの『こわれがめ』(グスタフ・ウチツキー、1937)の映画化について、その成立事情や検閲や受容の様相などを調査した。ゴットフリート・ケラーの『馬子にも衣裳』、テオドール・シュトルムの『みずうみ』の映画化作品(それぞれ、ヘルムート・コイトナー、1940、および、ファイト・ハーラン、1943)についても、原作との比較を試み、それぞれのケースの題材選択の意図を探った。
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